演題

腹腔鏡下低位前方切除術:平易な骨盤外科解剖の理解と基本操作

[演者] 坂井 義治:1
[著者] 平井 健次郎:1, 高橋 亮:1, 久森 重夫:1, 角田 茂:1, 田中 英治:1, 肥田 侯矢:1, 河田 健二:1, 長谷川 傑:1, 岡部 寛:1
1:京都大学消化管外科

【背景】NCDのデータによれば2011~2012年の2年間に施行された前方切除37,161例中の腹腔鏡手術割合は42%、内視鏡外科学会2013アンケートでは直腸癌に対する腹腔鏡手術割合は60%弱と報告され、直腸癌に対する腹腔鏡下前方切除が標準手術として定着しつつある。【目的】腹腔鏡下低位前方切除術が標準手術として定着するために、より平易な外科解剖と基本操作の概念ならびに困難な場面の解決策を提示する。【外科解剖の基本概念】筋膜は厚みのある結合線維から構成され、線維を切離し初めて膜様構造が明らかとなる。血管・神経は中胚葉起源の結合組織の中を目的臓器に向かって走行する。中胚葉起源である脂肪組織もこれらに併走することが多い。【操作の基本概念】血管・神経の直腸枝の切離には脂肪組織の切離を伴う。周囲臓器や組織との剥離は結合線維を切離することであり、厚み(幅)のある結合線維を視認できる術野展開が必須となる。結合線維間隙の中央を切離すれば両側に同量(厚み)の膜様構造が形成される。結合線維を切っている限り切離層(剥離層)はいつでも修正できる。【操作手順】①直腸間膜右側腹膜を切開、下腹神経・上下腹神経叢を視認温存、IMA根部に至る。②腰内臓神経に注意しつつIMAを切断、性線血管を温存しLCA/Vを切断。③内側からの剥離を可及的頭側・外側へ進める。④sigmoidal recessを確認しS状~下行結腸外側腹膜を頭側へ切離、脾弯曲を授動。⑤直腸間膜左側腹膜を切開。⑥直腸背側から両側へ、下腹神経・骨盤神経叢との間を剥離。⑦両側腹膜切開を連続し腹膜反転部を開放、精嚢・前立腺と直腸の間の結合線維が視認できる展開下、これらを切離。⑧神経血管束の剥離時、切離すべき結合線維の視認困難な場合、視認できる箇所から切離する。困難箇所のあらたな展開が可能となる。⑨肛門挙筋上を広く剥離しhiatal ligamentを視認、これを切離する際は直腸壁へ近づかないよう、電気刺激による挙筋の痙攣を指標にする。⑩Gut-clamperを装着し経肛門直腸洗浄を施行。⑪staplerにて直腸を切離・吻合。⑫経肛門ドレーンおよび腹腔内ドレーンを留置し手術を終了する。【困難点の解決策】下腹神経の視認および剥離の困難な時、骨盤神経叢や神経血管束剥離時の出血、直腸切離途中で後壁剥離が不十であった時の対策法、hiatal ligamentの切離法、Gut-clamperの装着方法などを供覧する予定である。
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