演題

3次元高解像度胸腔鏡下食道癌縦隔リンパ節郭清術

[演者] 北川 雄光:1
1:慶應義塾大学外科

狭小な縦隔に大血管や気道系など、損傷した場合重大な合併症を発症する可能性のある臓器が存在する縦隔における操作を要することから、胸腔鏡下食道癌根治術は内視鏡外科手術の中でも高難度手術の一つとなっている。また、重点郭清領域である両側リンパ節郭清において、通電や熱損傷による反回神経麻痺を回避するため鋭的操作が必要となる。教室では,術前3DMD-CTを用いたanatomical simulationによる気管支動脈、胸管の走行把握、左側臥位・腹臥位ハイブリッドポジション、3Dハイビジョンシステム、dual tapingによる効果的な食道牽引法を活用し、拡大視効果を駆使した精緻な縦隔リンパ節郭清術を目指してきた。まず、上縦隔郭清操作は左側臥位で行う。奇静脈弓を切離したのち胸部上部食道、胸管を腹側に受動する。術前simulationにて左気管支動脈温存が可能な場合には、右気管支動脈を起始部から切離し、大動脈弓、左鎖骨下動脈を露出する。次いで右迷走神経本幹に沿って頭側へ胸膜を切開し、右反回神経反回部、右鎖骨下動脈を露出し、さらに気管右壁を露出する。内視鏡外科手術用剪刀を用いて右反回神経周囲リンパ節郭清を頭側に向けて行う。胸部上部食道を上部、下部2カ所で食道をテーピングし、適宜牽引しながら気管左壁から左反回神経周囲リンパ節を遊離する。剪刀を用いて左反回神経のみを遊離し、これを温存、左反回神経周囲リンパ節は胸部上部胸管とともに切除する。大動脈弓下にて術前simulationに基づいて、左気管支動脈を温存しつつ、肺動脈を露出しながら106tbLの郭清を行う。ベッドローテーションにより腹臥位へ変換し、中下縦隔の胸膜を切開したのち横隔膜上リンパ節の郭清に続いて食道を心嚢面から剥離する。胸部上部食道を仮切断したのち食道、胸管断端を適宜尾側に牽引しつつ、下行大動脈周囲後縦隔リンパ節の郭清を行う。最後に気管分岐部、肺門リンパ節を郭清し縦隔リンパ節郭清操作を完了する。これまで教室で施行した低侵襲食道切除302例のうち203例でハイブリッドポジションを採用した。これにより中下縦隔リンパ節郭清個数は有意に増加し、また術前anatomical simulation導入後、気道周囲リンパ節郭清個数の有意な増加、出血量の有意な減少を認めた。本セッションではその手技を映像にて供覧する。
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