演題

映像による私の手術手技
2015-04-17 08:00 - 08:30
VL-3

肺癌に対する標準手術

[演者] 金子 公一:1
1:埼玉医科大学国際医療センター呼吸器外科

原発性肺癌に対する標準手術は肺葉切除と肺門・縦隔リンパ節郭清である。最近では画像診断機器や技術の進歩によって微小な病変が多く発見され、術前に確定診断が得られない症例も少なくない。また多くの基礎疾患を持った高齢者や多発病変を持つ症例もあり、われわれの施設では定型的な手術はむしろ少ない。 術前確定診断の得られていない病変に対しては、必ず肺部分切除して迅速診断により確定診断してから根治手術を行う。術前CT画像やPET高集積で肺癌を強く疑ったが良性の肉芽腫であった症例もあり不必要な肺の切除は避けなければならない。特に合併症のある症例や高齢者では確実な診断による治療が必要である。純粋なすりガラス陰影(pure ground glass opacity: GGO )で2cm以下の病変では区域切除を考慮するが、それ以外は低肺機能や超高齢者でなければ肺葉切除を行う。肺動静脈の切離は自動縫合器を用いるが、医療経済上、細い脈管は二重結紮切離を行う。胸腔鏡での操作の場合は肺動脈の処理を先に行うことも多い。気管支も自動縫合器によって切離するが、糖尿病合併例や下葉切除では肋間筋や脂肪織による気管支断端被覆を行うようにしている。 リンパ流路や転移経路の研究により不必要と思われるリンパ節郭清が省略されることがあるが郭清はND2a-2を原則としている。郭清に際しては神経の温存のほかに気管支動脈もなるべく温存するようにしているが腫大したリンパ節が認められる場合は気管支動脈ごと郭清する。操作にはenergy deviceを使用している。 アプローチは原則として胸腔鏡手術で行うが、ポートの角度や病変部位により部分切除などの操作が困難な場合、触診で確認する必要のある場合、肺動脈周囲に癒着のある場合など操作に時間がかかるようであれば躊躇なく5~7cmの小開胸を併用する。小開胸を併用するタイミングは胸腔鏡操作の技量にもよるので術者や指導医の冷静な判断が必要である。胸腔鏡は道具として有効に使用すべきで術者として無理な操作とならないように心がけ、漫然と操作を繰り返したり、見えない部分に対して操作したりすることのないよう注意している。 外科手術は安全性、確実性(根治性)が最も重要で最優先される。肺癌の標準手術でもこの条件を満たした上でアプローチや操作法を考えるべきと思う。
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