演題

PD-24-2

N2肺癌に対する個別化治療

[演者] 鈴木 健司:1
[著者] 高持 一矢:1, 王 志明:1
1:順天堂大学呼吸器外科

N2肺癌に対する治療は困難を極めている。最近の本邦での切除成績からcN2-pN2という切除肺癌の中においてもっとも予後不良とされる集団でも5年生存割合30%と言う報告がなされた。かつて5%と認識されていた集団だけにこの報告はそれなりにインパクトが有り、N2肺癌に対して外科切除単独も標準治療のひとつとしてよいのではないかという意見も出始めた。一方でその再発形式は依然として遠隔再発で有り、これ以上手術の精度を上げても予後の改善は期待できない。また非外科治療としての化学放射線療法も改良され、最新のデータでは切除不能N2肺癌の5年生存割合が20%という報告もある。かつての報告に比べて生存割合は向上し、安全性も向上している。しかし局所制御は不十分である。約半数に局所再発を認めるのであるから改善の余地がある。RTOG0617は非外科治療としての放射線74Gyと60Gyを比較したものであるが、74Gyに癌死がより多く認められた。つまり局所制御を高める意図での放射線量の増加は予後の改善につながらないという結果である。ということになればsalvage surgeryとしての手術の意義を検証する必要がある。 集学的治療において術前か術後かという議論になるが、それぞれに利点と欠点がある。術後の化学療法は正確な病理病期と病理予後因子に基づいて治療を選択できるメリットがある。今後分子標的が多く発見される時代には最適な方法と言える。一方で術後の40%には様々な理由から化学療法が出来ない集団が存在する。これらの集団には術前に適応していれば集学的治療に持ち込めた可能性が高く、治療としては片手落ちと言うことになり、大きなデメリットと言える。一方術前治療は十分な全身療法を可能とするうえに抗がん剤と腫瘍との感受性が評価できる。デメリットは手術の合併症発生率が上昇することである。この点外科医の技術と経験が試される。術前治療として化学療法単独か化学放射線療法が良いかの議論は長らく続いている。古くは1993年ブラジルのFleckらが48例ずつをランダム化した研究をASCOで発表しているがその後論文化はなされていない。最近ではスイスのグループがこの研究を報告し、最終的には生存曲線が一致していた。この結果をうけて治療戦略をどう考えるかがいま呼吸器外科医に問われている。最近我々が取り組んでいるN2肺癌に対する個別化治療をもとに議論したい。
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