演題

SP-7-1

日本外科学会における邦文誌の在り方

[演者] 金子 公一:1
1:埼玉医科大学国際医療センター呼吸器外科

日本外科学会雑誌は1899(明治32)年の本学会創設時に創刊され115年の歴史を持つ学会誌である。その中で日本外科学会の活動を海外に知らしめ、業績を欧米に紹介しようという考えは明治時代の学会創成期から議論されており、古くから雑誌に英文抄録の付記や総会時にProceedingsの作成などが行われていたが、1971(昭和46)年に英文誌『The Japanese Journal of Surgery』が発刊され、1991(平成3)年には『Surgery Today』と改称された。 日本外科学会雑誌(邦文誌)の在り方はこれまで何度か検討されてきているが、大きな転機は1994(平成6年)から原著論文の掲載を『Surgery Today』に譲ってこれをofficial journalとし、邦文誌は総説、寄稿、手術手技など会員への情報発信を中心に行うようになったことであり、この形態が今日まで継続している。 『Surgery Today』はimpact factorも獲得して順調に発展しており、更なる質の向上のため新たに症例報告専用の『Surgical Case Reports』が発刊されることになった。したがって本学会は3つの機関誌を持つこととなり、邦文誌の存在意義について廃刊も視野に入れて在り方WGが立ち上がり大きな議論がなされてきた。 在り方WGでは全会員を対象にアンケート調査を行い6000名以上から回答を得た。その結果では廃刊との意見は13%にとどまり、現行通りの発行を支持する意見が約半数を占めた。また紙媒体を廃止して電子媒体での刊行についても60歳以上の会員を中心に紙媒体での刊行継続の希望が多くみられた。アンケート結果に加えて邦文誌が100年以上の歴史を持つ刊行物であることも考慮され、内容をさらに吟味して新邦文誌として継続刊行されることとなった。 医学に限らずglobal化した現代では邦文雑誌の発信力は国内に限定され極めて弱いものであり、会員であっても自らの評価を受けるには学会雑誌ではなく海外の英文誌への投稿が必要になっている。しかし、その一方で教育施設でも研究施設でもない第一線の医療現場の会員には学会邦文誌は信頼できる貴重な情報源となっていることも事実である。学会誌としてはこのいずれの受け皿にもなる必要があり、現時点では日本外科学会は3つの機関誌を持つことになっているが、official journalとしての英文誌と広く一般会員への情報発信のための邦文誌は各々違った目的があり、財政的に許されるのであれば両者共存してゆくことが会員の利益につながるものと考える。
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