演題

PD-22-4

当科における傍腎動脈腹部大動脈瘤に対するOpen repairの成績

[演者] 坂野 比呂志:1
[著者] 徳永 晴策:1, 小山 明男:1, 田畑 光紀:1, 前川 卓史:1, 児玉 章朗:1, 成田 裕司:1, 山本 清人:1, 古森 公浩:1
1:名古屋大学血管外科

【目的】傍腎動脈腹部大動脈瘤は現行deviceによるEVARの適応外とされ,その結果,開腹手術における割合は増加した.当科における腎動脈上遮断を要した腹部大動脈瘤(AAA)開腹手術の成績を示す.【対象と方法】2005年4月〜2014年8月に当科ではAAA 待機手術を938例(うちEVAR469症例)に施行した.このうち,腎動脈上遮断を要したAAA待機開腹手術93例(男/女 80/13)をretrospectiveに検討した.【結果】平均年齢は72.0(60-86)歳.併存疾患は高血圧症79例,脂質代謝異常症47例,糖尿病14例,冠動脈疾患36例,脳血管疾患7例,COPD13例,腎機能低下(Cre>1.5 mg/dl)5例.2名(2%)は維持透析患者であった.手術時間は平均269分.中枢遮断部位は左右腎動脈間が62例,両側腎動脈上が28例,腹腔動脈上が3例で腎動脈遮断時間は平均33分(12-96分).左腎静脈の切離を20例(22%)に施行した.12例で計12本の腎動脈を再建した.術中腎保護目的に腎動脈への冷却乳酸加リンゲル注入を9例,上腕動脈に留置したシースからの動脈血灌流を3例に施行した.術後入院期間は中央値13日(IQR, 10-17日)で手術死亡はなかった。術後合併症として腸閉塞4例、虚血性腸炎3例、敗血症3例(肺炎、原因不明)、心不全2例などを発症した.周術期腎機能(術前維持透析症例除く)の変化は,術前の平均Cre値は1.06mg/dl,術後の最高Cre値は平均1.63mg/dlで,31例(34%)で0.5mg/dl以上上昇した.1例では術後一時的血液透析を要した.術後観察期間(中央値24.6ヶ月)に6例で腎機能低下(術前比30%以上のCre値上昇)が見られたが,維持透析に陥った症例はなかった.術後腎機能低下の危険因子として単変量解析では術前Cre値,手術時間,遮断部位,腎静脈切離において有意差を認めたが,多変量解析では有意な予測因子を認めなかった.overall survivalは術後5年で79.6%であった.【まとめ】術後一過性に3割で腎機能低下を認めたものの,ほとんどの症例で腎機能は回復した.長期的にも維持透析を要する症例は認めなかった.生命予後に関しても腎動脈以下の腹部大動脈Open症例と遜色無かった.当科では現在のところ傍腎動脈AAAに対してはOpen repairが基本方針であり,これまでにfenestrated EVARを4例、またchimney法を1例経験しているが、開腹手術ハイリスク症例に限っている.
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