演題

PD-19-8

肝臓外科における全身予備能評価としての術前サルコペニアの意義

[演者] 海道 利実:1
[著者] 濱口 雄平:1, 奥村 晋也:1, 藤本 康弘:1, 小川 晃平:1, 田浦 康二朗:1, 森 章:1, 波多野 悦朗:1, 岡島 英明:1, 上本 伸二:1
1:京都大学肝胆膵・移植外科

【目的】肝臓外科においては、肝予備能評価のみならず全身状態評価も重要である。そこで我々は、全身予備能評価としての術前サルコペニアに着目し、肝移植と肝切除における臨床的意義について検討した。【方法】肝移植:検討1)対象は2008年2月から2012年4月までに当科で成人肝移植を施行し、術前に体成分分析装置にて骨格筋量を測定し得た124例。術前サルコペニア有無別生存率、周術期栄養療法有無別生存率を検討。検討2)検討1の結果に基づき、2013年1月より新たに「自立歩行可能」を肝移植適応に追加し、さらに積極的に周術期栄養・リハビリ介入を開始。2013年1月から2014年8月までに当院で施行した成人生体肝移植48例につき、全生存率、骨格筋量標準値比と術前握力の相関、術前サルコペニア有無別生存率を前向きに検討。検討3)対象は2008年1月から2013年10月までに当科で成人肝移植を施行し、臍レベルの単純CTで骨格筋の断面積とCT値を評価し得た200例。骨格筋量としてPMI(Psoas muscle mass index)を、骨格筋の質としてIMAC(Intramuscular adipose tissue content)を計算し、ROC曲線でカットオフ値を設定。術前PMIならびにIMACと移植後生存率の関係を検討。肝切除:対象は2005年4月から2013年9月までに当科で肝切除を施行し、PMIとIMACを評価し得た427例。同様にカットオフ値を設定し、術前PMIならびにIMACと肝切除後生存率・無再発生存率との関係を検討。【結果】肝移植:検討1)サルコペニア群(n=47)は非サルコペニア群(n=77)に比べ有意に生存率低値(p<0.001)。術前サルコペニアは独立予後因子で、Child分類やMELDスコアは独立予後因子とならず。周術期栄養介入によりサルコペニア群で生存率が有意に改善(p=0.010)。検討2)6ヶ月生存率96%と短期成績良好。骨格筋量と握力に強い正の相関あり(r=0.834)。サルコペニア群(n=8)は非サルコペニア群(n=40)に比べ有意に生存率低値(p<0.001)。検討3)筋肉量低値群、筋肉の質低下群は、各々正常群に比べ有意に移植後生存率低値。多変量解析にて、筋肉量低値、筋肉の質低下が独立予後因子。肝切除:筋肉の質低下群は、正常群に比べ有意に肝切除後生存率・無再発率生存率低値。多変量解析にて、筋肉の質低下は独立予後因子で、既知の因子よりもオッズ比高値。【結語】肝臓外科において、全身予備能評価としての術前サルコペニアは有用で、移植適応変更と周術期リハビリ・栄養介入により移植成績が向上した。
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