演題

SP-6-5

呼吸器外科の全国データベースの現状とNCDへの期待

[演者] 奥村 明之進:1
[著者] 遠藤 俊輔:2, 池田 徳彦:3
1:大阪大学呼吸器外科, 2:自治医科大学呼吸器外科, 3:東京医科大学第一外科

NCDの呼吸器外科専門領域は2011年から基本項目の登録を開始し、2011年のNCD登録では原発性肺癌と転移性肺腫瘍の合計が40548件であった。また2014年からは二階建て部分の入力も開始した。一方、日本胸部外科学会は1986年以来、全国の主要施設での胸部外科手術症例数を集計しており、2011年の呼吸器外科手術は総数69223例、その内の肺癌手術症例は33878例であった。また原発性肺癌と転移性肺腫瘍の合計では41438件であり、この数値はNCD登録症例数と極めて近似している。呼吸器外科領域でNCD開始以前から本邦で行われている症例登録による全国データベース事業は4学会合同の全国肺癌登録事業、および日本肺および心肺移植研究会による肺移植レジストリーの二つである。肺癌登録事業について詳述すると、この事業は主として外科治療症例のretrospective database であり、直近の事業は2004年の11663例の手術症例の集計である。2004年症例のデータベースでは2010年に予後が確認された後に登録されているため、遠隔期での治療成績が解析可能である。このデータベースから現時点で9つの英文論文が発表されており、これらのimpact factor の合計は43.5である。さらに肺癌登録事業のこれまでの集計による47306例のデータはUICCのTNM委員会のデータベースでも活用されており、5年毎のTNM修正作業に用いられ、本邦の診療成績が国際基準に影響を及ぼす結果となっている。また現在、2012年の非外科治療症例の前向き登録が行われており、2年後に最終の予後調査が完了する。この結果は、近年急送に進歩している分子標的療法の意義を検証すると期待される。呼吸器外科領域においてNCD登録と日本胸部外科学会の学術調査の症例数がほぼ一致することは、NCDの登録が全国の症例をほぼすべて網羅していることを示唆し、 NCDの意義が高いことは間違いない。一方、現時点でのNCD登録では長期の治療成績の把握は不可能であり、癌治療における学術的使用には制限がある。呼吸器外科領域が今後も全国的な学術的調査を続けていくためには長期成績の把握が必須であり、NCDデータの4学会合同肺癌登録事業での活用が求められる。さらにNCD登録の非外科治療症例への拡大も重要と考えられる。
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