演題

PD-18-1

胸腺上皮性腫瘍のリンパ節転移・遠隔転移に対する治療戦略

[演者] 近藤 和也:1
[著者] 中島 淳:2, 奥村 明之進:3, 吉野 一郎:4, 藤井 義敬:5, 浅村 尚生:6, 吉田 和夫:7, 伊達 洋至:8, 横井 香平:9, 先山 正二:10, 滝沢 宏光:10, 中川 靖士:10, 梶浦 耕一郎:10, 川上 行奎:10, 丹黒 章:10
1:徳島大学臨床腫瘍医療, 2:東京大学呼吸器外科, 3:大阪大学呼吸器外科, 4:千葉大学呼吸器外科, 5:名古屋市立大学呼吸器外科, 6:国立がん研究センター中央病院呼吸器外科, 7:信州大学呼吸器外科, 8:京都大学呼吸器外科, 9:名古屋大学呼吸器外科, 10:徳島大学胸部・内分泌・腫瘍外科

<背景>胸腺上皮性腫瘍は、時にリンパ節転移を認めるが、その頻度やその転移リンパ節の位置、予後については明確にされていない。<患者と方法>1991-2010年にJapanese Association for Research on the Thymus (JART)により全国29施設から胸腺上皮性腫瘍のデータが集められた。2793症例の中の正岡臨床病期IVb期の症例149について検討する。Yamakawa-Masaoka's paper (Cancer 1991;68:1984–7.)は、胸腺上皮性腫瘍のリンパ節を3つ(N1:胸腺周囲の前縦隔リンパ節, N2:前縦隔リンパ節以外の胸腔内リンパ節, N3:胸腔外リンパ節)に分類した。今回の解析では、この分類を採用した。<結果>胸腺腫のリンパ節転移の頻度は1.73% (42/2423)と稀であり、リンパ節転移の64.3%がN1であった。胸腺癌のリンパ節転移の頻度は21.4% (79/370)で、リンパ節転移の57%がN1に転移を認めた。胸腺腫の遠隔転移の頻度は、0.67% (16/2423)で、その75%が肺転移であった。胸腺癌は6.8% (25/370)で、その64%が肺転移であった。胸腺腫症例の完全切除率は50%、胸腺癌の62.7%であった。胸腺上皮性腫瘍全体でStage IVa期(n=189)とIVb期(n=149)に有意な生存率の違いを認めた(5, 10, 15年生存率: IVa=74%, 55%, 28%, IVb=58%, 40%, 32%, p=0.007)。Stage IVb期をリンパ節転移のみ群と血行性転移のみ群と両方の転移群で分けると、その生存率は、Stage IVa期>リンパ節転移のみの群(5, 10, 15年生存率:60%, 39%, 35%)>両方の転移群(5, 10, 15年生存率:44%, 17%, 0%)と悪くなる傾向を認めた(有意な違いはなし)。血行性転移のみ群は比較的良好な予後を示した(5, 10, 15年生存率:59%, 59%,59%)。リンパ節転移群をN1群とN2-3群に分けると、N1群(5, 10年生存率: 69%, 40%)の生存率は、N2-3群(5, 10年生存率: 41%, 21%)より良好であった。<考察>胸腺腫のリンパ節転移や血行性転移は稀である。胸腺上皮性腫瘍では、前縦隔リンパ節(N1)へ転移しやすく、N2-3転移の症例と比較して、N1転移の症例は予後が良好である可能性がある。リンパ節転移は、予後に影響する因子である。今回の集計症例の大部分は、Stage IVb期のうち、外科的切除の候補となる症例である。Stage IVb期症例の正しい予後をみるためには、化学療法や放射線治療の候補となるIVb期症例のprospectiveなデータ集積が必要である。
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