演題

PD-17-1

胃癌周術期化学療法におけるS-1+Docetaxel併用療法の有効性

[演者] 掛地 吉弘:1
[著者] 鈴木 知志:1, 田中 賢一:1, 沖 英次:2, 江見 泰徳:2, 前原 喜彦:2
1:神戸大学食道胃腸外科, 2:九州大学消化器・総合外科

ACTS-GC試験の結果から、Stage II/IIIのD2郭清が行われた症例に対して術後1年間のS-1投与が我が国の標準療法となっている。Stage III症例に対しては、更なる治療成績向上を目指して治療法の確立が望まれている。S-1+Docetaxel(DTX)療法の周術期化学療法としての有効性を明らかにする目的で、これまでに進めてきた臨床第II相試験等の結果を比較検討した。1. 術後補助化学療法:根治切除を行ったStage II/III胃癌の術後にDTXをday1に40mg/m2投与、S-1は80mg/m2を2週投与1週休薬、3週1コースで4コース行い、その後S-1単独投与を9カ月間続けた。主要評価項目をS-1+DOC併用療法4コースの治療完遂率とし、68%(15/22)であった。S-1+α療法については、胃切除後低下しているコンプライアンスを高める工夫をしたプロトコールで、70%以上の完遂率が複数の第II相試験で報告されてきた。S-1+DTX療法の第III相試験としてSTART-2試験が開始されている。2. 術前補助化学療法:審査腹腔鏡で腹膜播種が無く根治切除可能なcStageIII/IV(T4)胃癌に対して、S-1+DTX療法(S-1:2週投与2週休薬、DTX:35mg/m2、day1, 15, 4週1コース)を2コース施行し、胃切除術を施行した。主要評価項目は病理学的奏効割合(中央判定Grade 1b以上)で47%(22/47)、術前化学療法のRECIST奏効割合は34%(16/47)であった。3年生存率は60.9%と良好な成績を示している。複数の報告より、S-1+α療法の術前2コース施行で50%近い病理学的奏効割合が得られることが明らかになっている。3. CY1症例に対する化学療法:術前の画像診断でP0と診断されたcStageIII/IV (T4)胃癌79例に対して審査腹腔鏡を行い、P0/CY1: 9例、P1/CY0: 6例、P1/CY1: 14例と、合計29例(36.7%)で腹膜播種陽性(CY1またはP1)であった。細胞診のみ陽性(P0/CY1)の9例にS-1+DTX療法を行い、8例(89%)に手術が施行できた。病理学的奏効割合は55.6%(5/9)であり、down stagingは77.8%(7/9)に得られた。補助化学療法としてS-1+DTX療法は、術後でも外来を中心に高いコンプライアンスを保つことが可能である。より良好な成績を求めて術前での使用も期待され、今後の検証が期待される。高度進行胃癌において審査腹腔鏡は術前診断に有用であり、CY1症例に対しても化学療法から外科手術を行うことで予後の改善が期待できる。
詳細検索
アプリバナー iPhone版,iPad版 Android版