演題

PD-16-2

大腸癌両葉多発肝転移に対する集学的治療の功罪

[演者] 松尾 憲一:1
[著者] 川口 大輔:1, 廣島 幸彦:1, 村上 崇:1, 平野 敦史:1, 森 幹人:1, 小杉 千弘:1, 首藤 潔彦:1, 幸田 圭史:1, 熊本 宜文:2, 遠藤 格:2, 山﨑 一人:3, 石田 康生:3, 田中 邦哉:1
1:帝京大学ちば総合医療センター外科, 2:横浜市立大学消化器・腫瘍外科, 3:帝京大学ちば総合医療センター病院病理部

【目的】大腸癌両葉多発肝転移に対する集学的治療の功罪を検討する。【対象】肝転移切除523例中両葉多発転移191例を対象とした。診断時切除困難と判断したMarginalと切除不能なUnresectableの2群に分類し検討した。【結果】(1)Marginal 105例中、肝切除前化学療法(化療)施行50例と化療非施行55例を比較すると背景に差はないものの化療例で非施行例に比較し、出血量、輸血率、術後在院日数ともに良好であった(P<0.01)。5生率はそれぞれ27.3%、42.3%と差はなかった。化療奏効度別では(不明2例除外)、PR以上の奏効例(n=29)は、非施行例(n=55)に比較し、腫瘍径が小さく(P<0.05)、術前CEA値が低値であり(P<0.01)、出血量、輸血率、術後在院日数は良好であり(P<0.01)、5生率も54.9%と良好であった(P<0.05)。SD・PDの症例(n=19)でも非施行例(n=55)に比較し、短期・長期成績を悪化させる因子はなかった。(2)Unresectable 86例は全例に切除前化療が施行されており、SD以上の奏効例(n=77)とPD以下の非奏効例(n=9)で比較すると、奏効例では術前腫瘍径が小さく、肝外転移頻度も低率であった(15例,19.5% vs. 5例,55.6%)。周術期因子に両群で差はないものの、長期成績は奏効例の生存期間中央値が1024日と非奏効例の250日に比較し良好であった(P<0.01)。(3) Unresectable 86例で特殊手術(多段階切除55例、門脈塞栓47例、脈管合併切除15例 (重複あり))の安全性と効果を検討した。これらいずれかの特殊手術を併用した64例は、腫瘍径・切除肝重量が、非併用22例に比較し有意に大きく術前化療サイクル数も多数であり(P<0.05)、より進行例を対象にしているにも関わらず、短期・長期成績ともに差はなかった。このうち、脈管切除再建の併用は、主肝静脈が6例、IVCが7例、肝外胆管が2例であり、これら15例とその他71例で、周術期因子、切除成績に差はなく脈管切除によっても安全な適応拡大が可能であった。また多変量解析によるUnresectable 86例の予後因子は、肝外転移有無(P<0.05)と化療奏効度(P<0.01)の2因子であった。【結語】両葉多発転移に対する集学的治療のうち切除前化療は、切除不能例のみならずMarginal例でも奏効例で短期成績を損なうことなく長期予後を改善した。また特殊手術の併用も安全な適応拡大が可能であった。ただし化療非奏効例に対する治療体系の確立が現状では急務と考えられた。
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