演題

PD-15-7

大腸癌に対するReduced Port Surgeryの意義と新たな展開

[演者] 竹政 伊知朗:1
[著者] 植村 守:1, 西村 潤一:1, 畑 泰司:1, 水島 恒和:1, 山本 浩文:1, 土岐 祐一郎:1, 森 正樹:1
1:大阪大学消化器外科

通常の腹腔鏡下手術は、腹部に数カ所の鉗子孔と標本摘出用に4-6cm程度の小切開創が必要となるが、さらなる低侵襲性・整容性の向上を目指して、スコープや鉗子など手術器具を挿入する創を少なく・小さくして、腹壁破壊をなるべく低減させるRPS(Reduced Port Surgery)が開発された。なかでも切開創を臍部1箇所に集約させた単孔式腹腔鏡手術は究極のRPSである。技術習得のlearning curveを経れば、通常腹腔鏡手術と比較し大幅に手術時間を延長することなく、極めて優れた整容性が得られるだけでなく、術後疼痛の軽減も期待できる。しかし、RPSには、安定した術野の確保、鉗子操作の干渉軽減、適切なカンタートラクションの保持、腸管の切離・吻合など技術的克服点も多く、大腸癌に対してこの術式を安全・確実に遂行するためには、外科的、腫瘍学的な安全性の確保が不可欠であり、適切な症例選択と十分な技術的修練が必要である。 RPSはその低侵襲性、整容性および癌手術としての安全性、確実性を客観的に評価した上で、次世代に向けた発展性について検討する段階になった。当科では2009年に早期S状結腸癌に本術式を導入して以来、適応を段階的に拡大してこれまでに大腸癌350例に対してRPSを施行した。手術時間:右側中央値165分、左側中央値179分、出血量:右側中央値40ml、左側中央値20mlで、同時期に施行した通常腹腔鏡の成績と比較して、左側ではいずれも同等であったが、右側では有意に手術時間が短かった。郭清リンパ節個数、AW、DWを含めた切除腸管長、術後合併症率、開腹移行率にも有意差を認めなかった。鎮痛剤使用頻度、VAS scaleと疼痛スコアリングシステムPain Visionを用いた術後疼痛評価ではRPSで有意に疼痛軽減効果を認め、また患者アンケートによる整容性満足度ではいずれもRPSで有意に良好であった。また最近注目を集めるロボット手術では通常5-6ヶ所の鉗子孔を必要とするが、この術式にもRPSの概念を導入し低侵襲化を図っている。 今後は社会ニーズを反映したRPSの臨床的意義の検証が必要と思われる。
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