演題

SP-6-2

NCDの現状と課題

[演者] 今野 弘之:1
1:浜松医科大学第二外科

2011年から開始されたNational Clinical Databaseは登録症例が毎年100万例を超え、膨大な診療データが蓄積された。繰り返し述べているが、本事業が順調な進展を見せているのは、多忙な診療業務の中で登録を行った現場の外科医の努力に由るところが大きい。NCDの信頼性の確立のため、医療水準8術式のmortality rateに関するrisk model(2011年データ)に続き、現在morbidityのrisk model(2011、12年データ)の論文化が進められ、本邦の外科医療の質の高さを世界に向けて継続的に発信している。またfeed backの一環として8術式のデータをまとめて昨年消化器外科学会雑誌に発表したAnnual Reportは同月最多のアクセス数を記録し会員の関心の高さが示された。さらに、個別症例の術前評価のために8術式のrisk calculatorが順次公開されており、さらに登録施設毎の医療水準の向上を目的としたツールも利用可能となる。また、2017年から開始される新専門医制度においてもエビデンスに基づいた研修プログラムの評価・改訂等の提言が期待される。加えて、米国との国際共同研究が進められており、NCD事業は新たなstageに入ったといえる。 一方で取り組むべき課題も少なくない。NCDデータ解析に関して外科全体でコンセンサスを造る必要がある。特に医療水準術式の利活用と新たなprojectの審査・運用の道筋を設定することが喫緊の課題である。10年後を見据え、何をどこまで明らかにするのかをNCD構成学会で熟議を重ね、全体像を明確にした上で透明性と公平性に裏打ちされた指針を示すべきである。このことがまさにprofessional autonomyの要諦と考える。安易な優位性の比較ではなく、地域外科医療の再構築を含めた行政への提言を目指したい。NCD機構として独立性を担保するためには、健全な財務体制が必須であり、施設会員からの年会費による恒常的財源の確保が避けられない。但しこのためには前述した各施設への具体的なfeed backの中身と有用性を丁寧に説明する努力が求められる。難問山積ではあるが、草創期の困難に比べればNCDの意義に対する一定のコンセンサスが概ね造られており、明確な到達目標と透明性のある工程の提示により克服できるものと信じてやまない。
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