演題

PD-14-1

食道癌術後合併症の現状とリスク因子の解析

[演者] 阿久津 泰典:1
[著者] 河野 世章:1, 上里 昌也:1, 村上 健太郎:1, 太田 拓実:1, 加野 将之:1, 豊住 武司:1, 水藤 広:1, 松本 泰典:1, 羽成 直行:1, 松原 久裕:1
1:千葉大学先端応用外科

[はじめに]食道癌の手術は侵襲が大きく,喫煙による肺,心臓,血管障害,アルコール多飲による肝機能障害など臓器障害を有する症例も多い.また,近年では術前化学療法(NAC),術前化学放射線療法 (NACRT)施行例も多くなり,ハイリスク症例の手術機会は増加している.リスク評価のスコアリングシステムは存在するものの決定的なものはいまだ少なく,現場の判断に頼っていることも多い.そこで,当科における食道癌切除症例をレトロスペクティブに検討し,手術関連死亡・術後合併症の現状とそのリスク因子の解析を行った.[対象と方法] 2004年1月~2013年12月までの切除395例を対象とした.術後合併症はClavien-DindoのGradeII以上の呼吸器合併症,縫合不全,反回神経麻痺,心不全,SSI,エアリーク(皮下気腫含む),血栓,再建臓器壊死,瘻孔形成,乳糜(リンパ漏含む),吻合部狭窄,梗塞,膵液瘻とした.これらの術後合併症を1つでも認めた症例群を「合併症あり群」とし,それ以外を「経過良好群」と定義した.一方,術前のリスク因子としては年齢(75歳以上),性別,同時性重複癌あり,臓器機能障害あり,NACあり,NACRTあり,サルベージ手術あり,開胸手術あり,高血圧あり,糖尿病あり,脂質代謝異常ありとした.[結果]手術直接死亡は1例(0.2%,脳梗塞),在院死亡を合わせた手術関連死亡は4例(1.0%)であった.術後合併症の現状:呼吸器合併症62例(15.7%),縫合不全50例(12.7%),反回神経麻痺43例(10.9%),心不全3例(0.8%),SSI9例(2.3%),エアリーク8例(2.3%),血栓1例(0.3%),再建臓器壊死4例(1.0%),瘻孔形成2例(0.5%),乳糜6例(1.5%),吻合部狭窄5例(1.5%),梗塞4例(1.0%),膵液瘻2例(0.5%)であった.なんらかの合併症がみられた「合併症あり群」は139例(32.5%),「経過良好群」は256例(67.5%)であった.術前リスク因子の解析(P値):年齢75歳以上(0.866),男性(0.054),重複癌あり(0.407),臓器不全あり(0.009),NACあり(0.251),NACRTあり(0.404),サルベージ手術あり(0.726),開胸手術あり(0.618),高血圧あり(0.123),糖尿病あり(0.243),脂質代謝異常あり(1.00)であり,男性は女性に比べ合併症のリスクが高い傾向が見られた.また,臓器不全を有する症例では有意に術後合併症のリスクが高く,50%の症例で術後合併症がみられた.[まとめ]食道癌手術においてはリスク因子を持つ症例も多く術後合併症発生率も高い.周術期の合併症対策を入念に行い合併症の低減をはかることが必要である.
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