演題

直腸癌に対する低位前方切除術における周術期感染症~大腸癌研究会プロジェクト研究『低位前方切除術における一時的人工肛門造設に関する多施設共同前向き観察研究』からの検討

[演者] 塩見 明生:1
[著者] 齋藤 典男:2, 杉原 健一:3, 大腸癌研究会 プロジェクト研究:4
1:静岡県立静岡がんセンター大腸外科, 2:国立がん研究センター東病院大腸外科, 3:東京医科歯科大学 腫瘍外科, 4:大腸癌研究会

【はじめに】縫合不全(AL)は直腸癌に対する低位前方切除術(LAR)の重篤な周術期感染症のひとつである。単施設からの報告は散見されるが、多施設共同前向き研究としての大規模データからの詳細な検討は行われていない。【対象】腫瘍下縁が肛門縁から10cm以内に存在する原発性直腸癌に対し、器械吻合を伴う低位前方切除術を施行した症例。登録1014例中、術式変更した78例を除く936例が解析対象。男性/女性 608/328例、cStage I/II/III/IV 302/203/359/72, 開腹手術/腹腔鏡手術 525/411例。腫瘍AV距離中央値7.5cm。【方法と目的】大腸癌研究会プロジェクト研究として施行した多施設共同前向き観察研究のデータベースを使用。本研究からALを含む周術期感染症発生頻度を報告する。また、AL危険因子を検討する。【ALの定義】Grade A; Radiological Leakage, Grade B; Symptomatic Leakage without re-laparotomy, Grade C;Symptomatic Leakage requiring re-laparotomy。【結果①:周術期感染症発生頻度】手術関連死亡は4例(0.4%)。最も発生頻度の高い周術期感染症はALであった。AL (Grade B+C) 12.9%、AL (Grade C) 4.7% 。その他、尿路感染症2.4%、骨盤死腔炎0.7%。【結果②:DS造設有無でのAL発生頻度の比較】AL (Grade B+C)はDS造設群13.2%(52/394)、非造設群12.7%(69/542)で群間有意差なし(p=0.84)。AL (Grade C)は造設群1.0%(4/394)、非造設群7.4%(40/542)であり非造設群で有意に高率であった(p<0.001)。【結果③:AL危険因子】AL(Grade B+C)の独立危険因子は「男性p<0.001; OR, 3.2; 95% CI, 1.8-5.7」と「腫瘍径(p<0.001; OR, 1.2; 95% CI, 1.1-1.4)」であった。【考察】最も発生頻度の高い周術期感染症はALであった。LARにおいて、DS造設は再手術を要する重度のALを有意に減少させ、重症度を軽減する役割がある。DS造設しない場合、7.4%の緊急手術リスクを要する。各術者・各施設の状況を考慮し、患者に十分な術前説明を行い、DS造設の有無を判断すべきである。
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