演題

PD-11-1

ハイリスク高齢者大動脈弁狭窄症に対するTAVRの適応ーrisk-SCOREと医療費からの検討

[演者] 大島 英揮:1
[著者] 成田 裕司:1, 阿部 知伸:1, 荒木 善盛:1, 藤本 和朗:1, 六鹿 雅登:1, 寺澤 幸枝:1, 八神 啓:1, 伊藤 英樹:1, 碓氷 章彦:1
1:名古屋大学心臓外科

経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)は世界的に普及し、本邦においてもhigh risk症例に対して実施されており良好な成績を収めている。本研究ではrisk-SCOREの観点からTAVRの適応基準を検討し、さらに医療経済的見地からTAVRの置かれる状況を考察した。【方法】2002〜2014年に施行された65歳以上の大動脈弁狭窄症に対する単独弁置換術(SAVR)172例を対象とした。EuroSCORE II ≥ 8%をhigh risk群 (H群 9例) とし、早期成績および医療費についてSCORE < 8%のnot-high risk群 (NH群 163例) と比較検討した。【結果】各群における平均EuroSCORE IIはNH群 2.4 ± 1.5%、H群 14.2 ± 8.7%であった。H群には開心術の既往を有意に多く認めた(NH群4% vs H群78%, p < 0.001)。体外循環時間はNH群150 ± 43分に対しH群194 ± 43分と有意に長く(p = 0.004)、手術時間もNH群288 ± 86分に対しH群413 ± 68分と有意に長かった(p < 0.001)。周術期にIABPを要した例はNH群6例(4%)に対しH群2例(22%)、PCPSを要した例はNH群2例(1%)に対しH群1例(11%)と有意差を認めた(各p = 0.01, p = 0.03)。院内死亡を、NH群2例(1.2%)に対してH群1例(11%)と有意に多く認めた(p = 0.027)。ROC曲線から求めた院内死亡の予測cut-off値はEuroSCORE II 8.1%(感度33%、特異度96%)であり、ロジスティック回帰分析でもEuroSCORE II ≥ 8.1%は院内死亡の有意な危険因子であった(OR 13.6, p = 0.04)。入院治療に要した平均医療費はNH群 5,108,478円に対しH群7,983,818円と有意に高額であった(p < 0.001)。また、EuroSCORE IIと医療費の間には有意な正の相関を認めた(R = 0.36, p < 0.001)。合併症なく成功したTAVRの平均医療費を550万円と仮定し、単独SAVRにおける医療費が550万円超となる予測cut-off値をROC曲線から求めるとEuroSCORE II 3.76%(感度65%、特異度85%)であった。【結語】mortalityと医療費の観点からTAVR適応基準となるrisk-SCORE cut-off値を検証した結果、その値には乖離が認められた。費用対効果の点からはintermediate risk群であってもTAVRの適応となり得ることが示唆された。今後TAVRの成績が安定し合併症率が下がれば、医療経済的見地からその適応は現在よりさらに拡大する可能性があると考えられた。
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