演題

生体部分肝移植における複数の静脈再建

[演者] 藤本 康弘:1
[著者] 小川 晃平:1, 奥村 晋也:1, 飯田 拓:1, 八木 真太郎:1, 田浦 康二朗:1, 森 章:1, 波多野 悦朗:1, 海道 利実:1, 岡島 英明:1, 上本 伸二:1
1:京都大学肝胆膵・移植外科

背景 生体部分肝移植のドナー手術では、肝実質の分配と血管の分配が問題となるが、ここでは血管の分配の結果起こる静脈の再建に焦点をあて、その実際および成績につき提示する。
症例1 V5、V8、右肝静脈再建ドナー 42歳男性、75kg。全肝予測重量1481g、中肝静脈つき右葉グラフト予測肝重量981g(残肝率33.8%、GRWR1.14%)、中肝静脈なし右葉グラフト予測肝重量950g(残肝率35.9%、GRWR1.10%)、左葉グラフト予測肝重量490g(GRWR0.57%)。当院での基準から、中肝静脈なし右葉グラフトを選択することとした。有意なV5, V8が存在し、グラフト容積に占める割合が各々19.2%, 16.7%であった。術後13日目に軽快退院。レシピエント 49歳男性、87kg。HBV肝炎から非代償性肝硬変となり、生体部分肝移植施行。バックテーブルにてV5、V8、右肝静脈間にレシピエントの門脈本幹〜左枝を間置し、レシピエント右肝静脈に吻合。肝機能には大きな問題なく経過。
症例2 右下肝静脈(IRHV)複数再建ドナー 59歳女性、40kg。全肝予測重量824g、中肝静脈つき右葉グラフト予測肝重量560g(残肝率32.0%、GRWR0.76%)、中肝静脈なし右葉グラフト予測肝重量526g(残肝率36.1%、GRWR0.71%)、左葉グラフト予測肝重量268g(GRWR0.36%)。当院での基準から、中肝静脈なし右葉グラフトを選択することとした。3本のIRHVおよび有意なV5が存在し、グラフト容積に占める割合が各々13.8%, 21.1%, 8.8%, 16.4%であった。術後14日目に軽快退院。レシピエント 54歳男性、71kg。HCV肝炎から非代償性肝硬変となり、生体部分肝移植施行。バックテーブルにてV5, 右肝静脈間にドナーの左卵巣静脈を間置。3本のIRHVは1穴化。各々、レシピエントの門脈を前壁パッチとして追加し、レシピエント右肝静脈、下大静脈に吻合。術後肝動脈に仮性動脈瘤を形成したが、肝機能には大きな問題なく経過。
肝静脈再建後血管開存率右葉グラフト症例176例について検討したところ、右肝静脈は全例で全期間にわたり開存していたが、V5, V8, IRHVは1年のうちに徐々に開存率が低下し、各々、45%, 74%, 62%となった。術後早期(2週間以内)の閉塞は、黄疸、腹水の遷延、在院日数の延長につながっている可能性がある。
結語 肝静脈再建の工夫、成績を提示した。V5開存性の改善が課題である。
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