演題

生体肝移植手術の標準化と肝静脈吻合困難例に対する工夫

[演者] 吉住 朋晴:1
[著者] 調 憲:1, 池上 徹:1, 播本 憲史:1, 伊藤 心二:1, 武石 一樹:1, 山下 洋市:1, 池田 哲夫:1, 内山 秀昭:1, 川中 博文:1, 前原 喜彦:1
1:九州大学消化器・総合外科

【はじめに】肝移植レシピエント手術は肝胆膵外科領域における高難度手術の一つであるが、若手外科医でも施行可能なように手術手技の標準化を目指して来た。今回、肝静脈形成の我々の工夫についてビデオにて供覧する。【対象】2011年11月以降に施行した成人間生体肝移植101例。グラフトの内訳は拡大左葉+尾状葉グラフト(LL+C群)58例、右葉グラフト(RL群)43例。【方法】1.バックテーブルにおけるグラフト肝静脈形成:LL+C群では中左肝静脈隔壁を切開・形成し、吻合口を拡大させた。RL群では、左内頚静脈、肝内門脈を用いて右肝静脈、中肝静脈枝(V5/V8)、右下肝静脈を一穴に形成した。レシピエント肝静脈吻合:LL+C群では右肝静脈は自動縫合器で閉鎖、中左肝静脈に加え肝上部下大静脈(IVC)を一部クランプし、IVCに直接吻合した。RL群では、中左肝静脈は自動縫合器で閉鎖、IVCを上下で全クランプし、右肝静脈縦切開にIVC横切開を追加し、三角形に吻合した。2.修練医8人が術者として成人間生体肝移植を施行したのは66例(修練医群)。4人は卒後8−15年目であった。同時期に4人の指導医が施行した35例(指導医群)と術前因子、術中因子、術後成績を比較した。【結果】1.冷虚血/温虚血時間(分)はRL群でLL+C群に比し、有意に長かった(冷虚血178 vs 90,P<0.0001、温虚血51 vs 43,P=0.007)が、外科的合併症の頻度・術後入院日数・グラフト生存率には差を認めなかった。RL群で肝静脈狭窄を1例に認めた。2.修練医群と指導医群の比較で、術前因子:術前入院管理を要する重篤な症例は、指導医群が多く施行した(%,28.8 vs 51.4, P=0.02)。手術因子:可及的に短時間での施行が必要とされる肝静脈/門脈吻合時間には両群で差を認めなかった。術後成績:外科的合併症(術後出血、膵液瘻、胆汁瘻)発生率(%,24.2 vs 25.7)、術後入院日数(日, 27.5 vs 29.4)、胆管狭窄発症率(%, 10.6 vs 17.1)及び6ヶ月生存率(%, 98.4 vs 94.3)では両群間に差を認めなかった。【まとめ】レシピエント手術を可及的に定型化する工夫により、肝移植手術成績を安定化させる事は可能であった。これには、術前からの症例の適切な選択が重要であると考えられた。
詳細検索
アプリバナー iPhone版,iPad版 Android版