演題

食道癌切除境界病変に対する外科的治療戦略

[演者] 小柳 和夫:1
[著者] 仲里 秀次:1, 井垣 弘康:1, 日月 裕司:1
1:国立がん研究センター中央病院食道外科

【目的】食道癌切除境界病変(near T4)に対する明確な治療方針は提示されていない.今回,当院のT4手術症例をretrospectiveに集積し食道癌切除境界病変に対する外科的治療戦略に関して検討した.【方法】2005年1月から2014年8月までに手術を施行したT4食道癌108例を対象とし臨床病理学的所見,手術成績を比較検討し予後因子の解析を行った.TNM分類はUICC第7版に準拠した.【結果】年齢:平均値(SD) 63.7(9.2)歳,男性/女性:94/14人,Ut/Mt/Lt/Ae:28/56/22/2例,cT4/sT4/pT4:14/98/30例(重複あり),そのうち大動脈/気管(支)/椎体浸潤:18/55/5例(T4b;重複あり), cStageIIA/IIB/IIIA/IIIB/IIIC/IV:7/1/41/32/10/17例.術前治療は65例に施行し内訳は化学療法(CT)が35例(FP 25例,DCF 10例),化学放射線療法(CRT)が30例で,術前無治療は43例であった.サルベージ手術は24例で,一期的切除再建94例,非切除14例であった.合併切除を77例に施行したがT4b臓器の合併切除例はなかった.cT3群(n=94)は術中/術後にT4診断した症例で,T4b52例中11例が非切除であった.cT4群(n=14)ではT4b 12例中11例にコンバージョン手術を施行し非切除は2例であった.cT4群はcT3群に比較し術前治療の割合が高く(93% vs. 55%,P=0.008),R0切除率も高かった(50% vs. 26%,P=0.035).術前治療群は無治療群に比較し病理学的T,Nカテゴリーともに良好であった(P=0.006,P=0.007).また,術前治療群は臨床病期進行例が多かったが(P=0.001),切除例における病理学的分類は反対に良好でdown-stageを認め(P=0.0004),R0切除率も高かった(P=0.070).DCF群とCRT群はFP群と比較し病理学的Tカテゴリーの改善を認めた(DCF:P=0.031,CRT:P=0.015).DCF群はCRT群と比較し頸部郭清未施行例が少なく(33% vs. 86%,P=0.003),呼吸器合併症の発生頻度が低かった(11% vs. 59%,P=0.015).術後在院死亡は5例であった.R0症例はR1/2症例に比較しcause-specific survival が良好であった(log-rank,P=0.018).多変量解析(Cox比例ハザードモデル)では病理学的リンパ節転移(N2/3 vs.N0/1,P=0.003),頸部郭清未施行(P=0.010),呼吸器合併症(P=0.038)が全生存率と有意な関連を認めた.【結語】食道癌切除境界病変にR0・標準手術を安全に行うためには局所制御効果が高く術後合併症に配慮した術前療法が求められる.局所進行食道癌に対するDCF併用導入化学療法の臨床第II相試験の結果が期待される.
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