演題

T4b胸部食道癌に対する治療戦略

[演者] 山﨑 誠:1
[著者] 宮田 博志:1, 宮崎 安弘:1, 高橋 剛:1, 黒川 幸典:1, 中島 清一:1, 瀧口 修司:1, 森 正樹:1, 土岐 祐一郎:1
1:大阪大学消化器外科

【はじめに】大動脈・気管(支)浸潤を伴う(T4b)食道癌は切除不能とされ、極めて予後不良である。治療抵抗性は致命的となることから局所制御能の高い化学放射線療法(CRT)が行われるのが一般的である。一方、近年の新規化学療法レジメンの開発により、局所だけでなく遠隔制御も視野に入れた導入化学療法が注目されている。そこで当科で治療を行ったT4b食道癌症例を後方視解析し、T4b食道癌に対する導入化学療法の可能性、またT4臓器合併切除の可能性についても検討した。【対象】1996年から2013年6月までに当科で加療をおこなったcT4b胸部食道癌203例を対象とし、①先行治療法別②T4臓器合併切除の治療成績について解析した。【結果】年齢:中央値65(40-83)歳。男性/女性:179/24。局在はUt/Mt/Lt:77/111/15。T4b臓器は、重複も含めて気管(支)/大動脈:160/57例。初回治療として110例に化学療法(CT群)、93例に化学放射線療法(CRT群)を施行した。CT群は2008年6月まではFAP療法(52例)を以後はDCF療法(63例)を、CRT群はFP療法を併用した。初回治療の奏効率はCT群67%(FAP:48%,DCF:84%)、CRT群74%であった。後治療は、CT群では手術/CRT/CRT+手術/なし:49/20/34/7例で、78例(71%)に臨床的に無病(根治切除またはCR)を得た。一方、CRT群では、手術/なし:41/52例で、46例(49%)に臨床的に無病を得た。2年生存率はCT群:40%(FAP:25%,DCF:54%)、CRT群:28%であり、CT群が有意に予後良好であった。予後因子解析では、初回治療の治療効果・根治切除(またはCR)が独立した予後因子であった。次に、T4臓器合併切除によるR0切除も根治切除として予後改善に寄与するのかを検討した。CT,CRT後の検査にてT4bと判断した症例のうち、15例に気管合併切除を伴う外科的切除(縦隔気管孔造設2例、気管支環状切除1例、膜様部切除2例、膜様部表層切除10例)を施行した。全例でR0手術が可能であったが在院死を1例に認めた。局所再発は1例のみであったが、50%生存期間は17か月、2年生存率は22%であった。長期生存を得られた3症例はいずれも初回治療が奏効し、治療前リンパ節転移が1個以下であった。【まとめ】T4b食道癌に対する先行治療としてのDCF療法は局所制御能が高く、T4食道癌に対する治療戦略に変革をもたらす可能性が示唆された。また、気管T4に対する合併切除は施行可能な手技であるが、今後長期予後の期待できる症例を適切に選別することが重要であると思われた。
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