演題

T3・T4下部直腸癌に対する開腹手術の利点について

[演者] 高橋 慶一:1
[著者] 松本 寛:1, 中野 大輔:1, 中山 祐次郎:1, 石山 哲:1, 大日向 玲紀:1, 矢島 和人:1, 岩崎 善毅:1, 森 武生:1, 山口 達郎:1
1:がん・感染症センター都立駒込病院外科

【目的】腹腔鏡手術の進歩により、直腸癌手術に対しても積極的に導入されるようになり、開腹手術よりも拡大視効果により確実な手術ができるという報告がある。しかし下部進行直腸癌に対する側方郭清術は、腹腔鏡下の手術では手術の煩雑さから、片側郭清またはNo283およびNo263の重点郭清が行われることが多いのが現状である。下部進行直腸癌に対する開腹手術の利点について明らかにする。【側方郭清の適応】腫瘍下縁が腹膜翻転部より肛門側にあるT3・T4直腸癌で、両側側方郭清を原則とする。【側方郭清のポイントと利点】側方郭清は標本の摘出後に、大動脈分岐部から開始する。まずNo273とNo293の郭清を行う。No293は外腸骨静脈が確認できるところまでとする。次にNo283の郭清に移る。腹膜外法を併用する。外腸骨静脈と内腸骨動脈の交差部で骨盤側壁から梨状筋を確認後、脂肪組織を剥離し、脂肪組織を割り閉鎖神経を確認する。次に腹膜外アプローチで膀胱側腔に到達し、直視下に閉鎖神経および閉鎖動静脈を閉鎖孔まで確認しその周囲のリンパ節郭清を行う。予防的郭清では閉鎖動静脈は温存するが、閉鎖リンパ節に転移が疑われる場合は合併切除を行う。その後腹腔内操作に戻り、郭清リンパ節を腹腔内に引き出しリンパ節を摘出し、No283の郭清を完了する。No263の郭清は上膀胱動脈の分岐部より中枢側の内腸骨動脈に沿う部分をNo263P、それより末梢をNo263Dとし郭清を行う。No263Dに転移がある場合は内腸骨動静脈の末梢で血管と骨盤神経叢を含めて合併切除を行うが、開腹術では膀胱側腔からAlcock管の入り口を直視下に確認でき、挟み撃ちする形で安全に手術ができる利点がある。No280を郭清し、反対側も同様に行い側方郭清を完了する。【手術成績】264例のT3T4下部直腸癌に対する開腹による側方リンパ節郭清術の神経温存形式別(非温存、片側温存、両側温存)の5年生存率は49.7%、59.7%、78.7%、局所再発率は12.7%、11.3%、7.4%で、神経温存と根治性の両立は可能であった。腫瘍の局在と両側側方リンパ節転移頻度は、全周性:16.1%、前壁:5.4%、後壁:10.0%で、前後壁に腫瘍がかかる場合は両側側方リンパ節転移の可能性が示唆され、原則的には両側郭清を行うべきである。
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