演題

SY-22-2

当科における直腸癌集学的治療戦略と新たな治療効果予測マーカーの探索

[演者] 井上 靖浩:1
[著者] 今岡 裕基:1, 浦谷 亮:1, 沖 哲:1, 廣 純一郎:1, 三枝 晋:1, 問山 裕二:1, 小林 美奈子:1, 荒木 俊光:1, 田中 光司:1, 毛利 靖彦:1, 楠 正人:1
1:三重大学消化管・小児外科

【はじめに】当科では以前より直腸癌集学的治療の最適に取り組んできた。最近では患者状況に合わせShort course、Long course chemoradiotherapy(CRT)を使い分けるとともに、併用化学療法も変遷している。【目的】今回、当科の直腸癌集学的治療成績から、直腸癌術前化学放射線療法の最適化を考察するとともに、血清microRNAを用いた新たな治療効果予測マーカーの探索を行った。【対象と方法】①術前化学放射線療法を施行した進行直腸癌113例を対象に治療スケジュール別の臨床成績を検討した。②術前CRTの治療効果Grade Ia(n=3)とpCR (n=3)の治療前血清からQiagen miRNeasy KitにてRNAを抽出。TORAY 3D-geneを用いて網羅的に血清microRNAs発現を検証した。さらに文献的候補のmicroRNAとあわせて、治療前血清からCRT効果予測が可能か検証した。【結果】①平均年齢62.2歳、治療前診断はstage I/II/III/IV=11/13/88/1であった。Short course 57例、Long course 56例が導入され、特にT4直腸癌の86%はLong courseが施行された。併用化学療法はPMC、sLV5FU2、S-1、bevacizumab併用など多岐に渡った。切除率99%、自然肛門温存率94%で、 肛門腹式直腸切除66例、低位前方切除32例、腹会陰式直腸切断術7例、他7例が施行された。Grade2以上の病理組織学的効果(著効群)は40例(35%)に得られ、特にLong courseで有意に高頻度であった(45% vs. 26%, p=0.0339)。またpCRは7例(6%)と少数であったが、bevacizumab併用では有意に高率(25%)に認められた。病理組織学的著効群では5年OS(91.8% vs.76.4%)、5年RFS(76.7% vs.67.6%)ともに、非著効群より優れていたが、統計学的有意差はみられなかった。一方、pCRが得られた8例は全例無再発生存中であった。②発現量と変動比を使用したクラスター解析ではpCRに関与する9つのmicroRNA候補を選択した(up 5, down 4)。さらにmiR-21, miR-29aなど文献的候補とあわせて、現在臨床データから有効性を検証中である。【まとめ】照射スケジュールによる臨床からのテーラーメイド化に加え、新たな治療効果予測マーカーを探索し、より有効な直腸癌集学的治療の確立へつなげたい。
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