演題

改正臓器移植法が肝移植に及ぼした影響と推進に向けた現状での次善策、今後の改善策について

[演者] 嶋村 剛:1
1:北海道大学病院臓器移植医療部

改正臓器移植法施行により、旧法下の13年間で86例(年6.6例)であった脳死下臓器提供(DBD)が4年3か月間で201例(年47.3例)に増加し、900人近いレシピエントがその恩恵を受けた。肝移植に及ぼした影響:提供数の増加は最大待機点数(10点)が与えられる劇症肝不全患者に大きなチャンスをもたらした。これらの平均待機期間は13であるが、生体肝移植が脳症発症後平均4日で行われていたことを考慮すると、生体ドナーの意思決定・評価に十分な時間を提供しながらまず脳死肝移植を待機することが現実的となった。一方で、10点未満の患者では逆に待機期間が延長し5年以上の長期待機が必要となっている。現状での次善策:限られた提供症例からより多くの移植手術を実施するために、分割肝移植が実施されている。2013年末までの216例中30例(13.9%)が占める。提供された肝臓の状態、移植施設間の連携、阻血時間などが要点となるが、小児のみならず成人−成人間での分割も今後より考慮されるべきである。また、近年見直し・実施されるようになった心停止後提供による肝移植も現状での次善策といえる。Maastricht基準4のみがわが国では適応となりうるが、準拠すべき法がなくその制定が待たれる。さらに、提供された肝臓の26%が移植されない結果となっているが、原因の多くを占める脂肪肝に対して保存中のconditioningにより解決される可能性がある。今後の改善策:1998年からNPO活動により北海道の臓器提供推進を実施してきた。院内コーディネーター(CO)の育成、救急医・脳外科医のミーティング、高感度脳波測定研修、ポテンシャルドナー登録、市民講座などである。これまでに119名の院内COが知事からの委嘱を受け、道内2次医療圏の基幹病院すべてに配置された(うち6名はネットワークからの斡旋権も取得)。その結果、人口が全国の5%に満たない地域から23例(全体の約10%)のDBDが得られた。しかし、あくまで提供施設に依存した形である。routine referralにより急激に臓器提供数を増した国もあるが、脳死診断、家族に対する説明、ドナー管理を含むサポートチームの構築が必要である。 改正臓器移植法により脳死移植は限定的に進展した。移植実施側の現状での次善策はもちろんであるが、社会全体の今後の組織的な推進策が必須である。
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