【目的】開腹肝切除に応用可能な腹腔鏡手術の視覚的特徴を検討する。【方法・結果】肝葉切除を含む53例の腹腔鏡下肝切除を経験したが「拡大視効果により開腹手術で認識不能な構造が描出された」局面は無かった。一方、カラー像にICG蛍光像を重畳表示する硬性鏡を14例の腹腔鏡手術に用い、肝腫瘍 24結節中17結節を描出した。この17結節はICG蛍光法で同定されない7結節と比べ肝表に近かったが[中央値 1(0-5)mm vs 17(1-35)mm]、蛍光法は術前化療著効例や微少な転移の同定に有効だった。中枢側グリソンを先行処理した5例で術中にICGを静注、蛍光像が示す肝区域境界に沿って肝を離断した。ICG静注による胆汁漏試験を施行、術後胆汁漏の発生を認めず。【結語】開腹手術に応用すべき腹腔鏡手術の視覚的利点は拡大視効果よりも蛍光イメージングのfeasibilityである。Wearable端末の活用により開腹手術でも術野と同一視野に蛍光像を描出する技術の開発が待たれる。