演題

SY-20-4

原発性肺癌に対するロボット手術:初期成績と今後の展望

[演者] 谷口 雄司:1
[著者] 荒木 邦夫:1, 三和 健:1, 春木 朋広:1, 高木 雄三:1, 松岡 佑樹:1, 城所 嘉輝:1, 松居 真司:1, 宮本 竜弥:1, 中村 廣繁:1
1:鳥取大学胸部外科

【はじめに】本邦におけるda Vinciによる呼吸器外科手術(RATS)は,保険適応外であり,その評価は定まっていない.当科では2011年から肺癌に対するRATSを開始した.今回,当科のRATSの実際を供覧するとともに,初期成績を検討した.【対象】2014年8月までに当科で施行したRATSによる肺癌手術は31例で,全例臨床病期I期で,術式は,区域切除1例,肺葉切除29例,気管支形成を伴う右上葉切除1例であった.【手術手技】当初は3アーム+1アシストで開始し,アームの操作に慣れてきた11例目からは4アーム+1アシストを原則とした.これによりRATSの利点である視野の安定性が更に向上し,肺を上方に牽引・固定しておこなう葉間剥離や左上葉切除の際の気管支先行処理,縦隔郭清などもさらに容易となっている.【結果】手術時間276分,コンソール時間206分,出血量60ml,ドレーン留置期間2.4日,術後在院日数7.5日であった.これを同時期の完全胸腔鏡下(CVATS)の区域以上切除例182例(手術時間199分)と比較すると,手術時間は有意(p<0.0001)に長かったが, RATSのコンソール時間との比較では有意差はなかった.また,RATSを前半の16例,後半の15例に分けて比較すると,手術時間は319/229分,コンソール時間は245/163分であり,いずれも有意(p=0.0002,p<0.0001)に後半で短縮されており,ラーニングカーブが短いとされるRATSの特徴を表していると考えられる.さらに後半15例のコンソール時間は有意(p=0.008)にCVATSの手術時間より短かった.【最近の工夫】欧米人と比較して小柄な日本人では,時に十分なワーキングスペースの確保が困難である.それに対応するため,本年3月よりCO2送気を併用したCompletely portal robotic lobectomy(CPRL)を開始し,現在までに4例に施行した.CPRLは,視野の確保,臓器保護,oozingの減少,操作性の向上といった点で有用と思われるが,呼吸・循環への影響,空気塞栓の危惧,出血時の対応などは今後の検討課題である.【今後の展望】本年4月にFDAの認可を受けたda Vinci Xi は,可動範囲の大幅な拡大,3Dスコープが全アームに装着可能など,将来性は十分に期待される.一方,最重要課題と言える保険収載に関しては,現在,先進医療Bを目指して肺癌に対するVATSのヒストリカルデータを対照群としたRATS肺切除術の多施設共同前向き臨床研究の実施に向けた準備中であり,その承認および有効性の検証が待たれる.
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