【目的】膵頭部癌に対する門脈合併切除(門切)を伴う膵頭十二指腸切除(PD)のR0切除を目指した手術の工夫をビデオで提示し、R1予測因子を検討。【方法】膵下縁で上腸間膜動静脈(SMA,SMV)をテーピングし左右に牽引後、SMA神経叢を縦切開、根部に向かい右半周神経叢を切離。下膵十二指腸動脈を切離。SMAおよび腹腔動脈根部では、膵切離、脾静脈テーピングにより神経叢切除が容易となる。【結果】2000-2013年に当院で門切PD施行膵癌191例の術後入院期間中央値22日、Clavien-Dindo分類IIIa以上合併症19例、在院死亡1例。R0(122例), R1(69例)切除各々の生存期間中央値21 vs 16ヵ月(P=0.06)、無再発生存期間中央値は11 vs 7ヵ月(P=0.013)。多変量解析でR1予測因子は、グラフトorパッチ再建、CA19-9>37U/ml、腫瘍径>3.5cm、N2orN3。【結論】上記術式は安全に施行可能で、確実に腫瘍と門脈の関係を評価し、神経叢を切除するのに有用である。