演題

SY-19-2

間歇性跛行に対する診断と治療

[演者] 遠藤 將光:1
1:国立病院金沢医療センター心臓血管外科

跛行肢の除外診断で最も頻度の高いのは腰部脊柱管狭窄症等による神経性跛行で,末梢動脈拍動が良好で下肢血圧低下が無ければ容易に除外できるが,鳥畠ら1)によれば約15%で血管性と神経性が合併するためどちらが主因であるか注意が必要である. PAD(peripheral arterial disease)の診断は先述した末梢動脈の触診や下肢血圧測定で比較的容易であるが,詳細な病態把握の為外来で血管エコーやMRIが行われる.特に大動脈・腸骨動脈領域の近位病変は把握すべきである.CTも有用だが明確な画像には造影剤が必要な場合が多く入院検査が一般的であろう.以上の動脈閉塞や狭窄部位を特定する形態学的診断も重要だが,下肢機能評価は更に重要である.PADのほとんどを占める閉塞性動脈硬化症(ASO)では病変は慢性に進行し,その間に側副血行路が発達して主幹動脈に病変があっても虚血を呈さない場合もあり,これがFontaine I度の「無症状」となる.画像で病変を認めても下肢虚血を客観的に診断し治療方針を立てる必要がある. TASC Ⅱ2)でも跛行肢には禁煙,脂質・糖代謝異常の是正,血圧コントロール等による危険因子の改善と抗血小板剤が最優先である.これらでもQOLに制限があれば監視下運動療法が推奨され,全てのPAD患者への初期治療の一環としての運動療法はクラスAの推奨事項である.太田ら3),正木ら4)も運動療法による客観的評価の重要性を示している.運動療法でも改善しない場合や近位病変の疑いがあれば病変部位を特定し,血管内治療や外科的バイパス術を考慮する.以上のような段階的治療を経て必要なら血行再建を考慮すべきで,狭窄・閉塞を見つけたら直ちに血行再建に走るのはもっての外である. 最後にReach Registry 5)ではASOの1/4強は冠・脳血管疾患を合併していた.又get ABI6)によれば高齢者5名中1名(21%)がPAD で,ABIの低下に伴い重症血管イベントが増加し生存率が低下する事が判明した.このように動脈硬化症は全身疾患であり足だけでなく全身の動脈硬化性病変にも目を配る必要がある事を忘れてはならない.1)鳥畠康充ら.脈管学,49:5-8,2009. 2)Hiatt WR. N Engl J Med,344:1608-1621, 2001. 3) 太田敬ら.日血外会誌,7:455-60,1998. 4) 正木久雄ら.脈管学,43:303-6,2003. 5) Diehm C. et al; Circulation,120:2053-2061, 2009. 6) Bhatt DL et al. JAMA, 304:1350-1357, 2010.
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