演題

SY-18-2

胃食道逆流症に対する外科治療の現状と展望

[演者] 小熊 潤也:1
[著者] 小澤 壯治:1, 數野 暁人:1, 山崎 康:1, 二宮 大和:1, 北川 雄光:2, 守瀬 善一:3
1:東海大学消化器外科, 2:慶應義塾大学外科, 3:藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院外科

【背景】生活習慣の欧米化、高齢化、H.pylori感染率の低下などにより、近年わが国における胃食道逆流症(GERD)の罹患率は増加している。これに伴ってGERD本来の病態に対する治療法である逆流防止手術の必要性も今後増えてくることが予想される。現在では腹腔鏡下手術が標準術式として確立し、GERD診療ガイドラインでも推奨されている。【手術適応】われわれはSAGESのガイドラインに準じて、①内科的治療に失敗した症例、②年齢、治療期間、医療費などの諸事情により内科的治療に成功しても外科治療が望ましい症例、③Barrett食道や狭窄、高度の食道炎を合併する症例、④巨大な食道裂孔ヘルニアによる出血や嚥下障害などの合併症を有する症例、⑤喘息、嗄声、咳嗽、胸痛、誤嚥などの非定型的な症状を有したり、24h pHモニタリングで高度の逆流を証明しうる症例、としている。【手術手技のポイント】迷走神経の温存、左右横隔膜脚の確実な同定、腹部食道を十分に腹腔側へ牽引し噴門形成を行うこと、食道裂孔ヘルニアの確実な修復などが挙げられる。【手術成績】1995年から2014年までにGERDに対して腹腔鏡下手術75例に施行した。術式は26例がNissen法、49例がToupet法であった。巨大食道裂孔ヘルニアに対して2例にメッシュを用いたが、うち1例で術後食道穿孔を認めた。術後にバレット食道癌を発症した症例も1例経験した。【考察】GERDに対する外科治療の目標は確実な胃食道逆流防止とともに嚥下障害や腹部膨満などの合併症を最小限にすることである。噴門形成術に関しては、Nissen法およびToupet法が代表的であるが、近年ではとくに術後合併症の観点からToupet法を推奨する海外の報告が増えている。われわれは導入当初Nissen法を行っていたが、術後に通過障害をきたす症例が多いことから、Toupet法に切り替えている。今後はToupet法を標準術式とすべきか、病態に応じた術式の選択が必要か、などさらなる検討が必要である。食道裂孔ヘルニアに対するメッシュの使用については、現時点では報告例が少なく、適応や手技などは確立されていない。我々が経験した合併症の可能性も考慮して、手技の工夫を含めたさらなる検討を要する。術後の経過観察法についても、期間や間隔など、有効な方法に関する報告はない。バレット食道癌発症の危険性も考慮して経過観察を行っていく必要がある。
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