演題

SY-17-2

最近5年間の成績から見た冠動脈バイパス術の役割

[演者] 田嶋 一喜:1
[著者] 加藤 亙:1, 田中 啓介:1, 日尾野 誠:1, 宗像 寿祥:1, 秋田 翔:1, 矢澤 翼:1, 酒井 喜正:1
1:名古屋第二赤十字病院心臓血管外科

【背景】PCI先行治療は狭心症改善効果を有するが,生命予後改善効果や心筋梗塞発症予防効果は有さないとされる。一方、CABGは狭心症を改善,心筋梗塞発症を予防し長期生命予後を改善するというエビデンスが示されたことで、虚血性心疾患に対するCABGの遠隔成績の優位性は明らかになってきた。そうなるとCABGの手術成績自体が今、改めて問われることになる。当院における最近5年間のCABG症例の背景の変化とその成績について、それ以前のCABG症例と比較検討した。【方法】1992年より2013年に当院にてCABG(OPACBを含む)を施行した1926例を最近5年間(2009年から2013年の後期群333例とそれ以前の前期群1593例の2群に分けて、患者背景(年齢、高血圧、高脂血症、腎不全、糖尿病、喫煙歴)と手術手技の変遷および手術成績をretrospectiveに検討した。【結果】基礎疾患は術前後の検査値が当院のdatabaseで確認可能であった前期972例と後期191例との比較で行なった。年齢:66.6±8.8 vs 68.5±8.2歳(P<0.005)と後期で有意に高齢化しており、CKD:3.9% vs 41.3%(P<0.001)HD:10.8% vs 15.7% (P<0.03)と腎機能障害例が顕著に増加していた。高脂血症、糖尿病、心筋梗塞既往、喫煙歴については差を認めなかったが、コレステロール値は180±40.2 vs 161±39.4(P<0.005)と後期でむしろ有意に低下しており、スタチン導入の徹底化によるものと考えられた。OPACB率は前期37.7% vs後期60.7%(P<0.001)と全体としては後期で増加しているが、そのピークは前期の最終年である2008年の80.6%であった。単独CABGの病院死亡(緊急手術を含む)は前期2.0% vs後期2.0%と差が無かった。但しOPCABに限れば後期の病院死亡率は0.65%であった。後期において周術期脳神経障害を合併した症例は無かった。【考察・結語】CABG対象患者は最近5年間で高齢化が進み重症化していると考えられる。特に腎不全や人工透析症例が増加しており手術の難度は増している。その中で手術成績は2001年頃より非常に安定した。OPCABがスタンダードな手技として定着したことやin-situ動脈グラフトの汎用が一つの要因と推測される。2012年の冠動脈血行再建術協議会によるガイドラインに従ってハートチームにより虚血性心疾患の治療を協議する中で、短期成績としてもPCIに匹敵する安全性が示されたことで今後外科手術の役割はより大きくなると考えられる。
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