演題

SY-16-2

当教室の膵頭部癌に対する膵頭十二指腸切除術 -Mesenteric approachと門脈合併切除-

[演者] 藤井 努:1
[著者] 中尾 昭公:2, 山田 豪:1, 神田 光郎:1, 岩田 直樹:1, 小林 大介:1, 田中 千恵:1, 中山 吾郎:1, 杉本 博行:1, 小池 聖彦:1, 野本 周嗣:1, 藤原 道隆:1, 小寺 泰弘:1
1:名古屋大学消化器外科, 2:名古屋セントラル病院外科

現在の当教室における膵頭部癌手術の実際を供覧する。1.Mesenteric approach Nakaoにより報告(Hepatogastroenterology, 1993)された同手技により、手術の最初の段階で上腸間膜動脈(SMA)周囲への癌浸潤の有無を確認でき、R0手術の可否を決定し、また門脈の切除再建を容易にすることができる。膵癌手術においてもっとも重要かつ有用な手技である。 開腹し、遠隔転移の無いことを確認後、まず同手技を行う。Treitz靱帯より十二指腸下行脚下縁、すなわち膵下縁より約4〜5cm足側の腸間膜に横切開を入れ、上腸間膜動静脈以外の組織をすべて根部へ向かって切除しつつリンパ節郭清をすすめる。中結腸動脈は切離し、辺縁動脈のアーケードは温存する。次に、下膵十二指腸動脈・空腸動脈第1枝を結紮切離する。SMA神経叢は全周温存を基本方針としている。膵頭神経叢第Ⅱ部を可及的に切離した後、肝十二指腸間膜郭清、胃(亜全胃温存)・膵・上部空腸切離へと操作をすすめ、標本の摘出に至る。 近年、SMAに接触するBorderline resectable膵癌に対して、術前治療後に切除を試みる機会が増加している。Mesenteric approachは手術の序盤で切除の可否を決定できるため、不要なR2手術を避けることができ、特にこのような症例に対しても極めて有用であると考えている。2.門脈切除・再建 門脈再建は5-0あるいは6-0プロリン糸を用いて、端々吻合を二点支持・連続縫合で施行している。吻合部に緊張がある場合, 右半結腸を後腹膜より授動することで緊張を緩和できる. Mesenteric approachを行った場合の門脈端々吻合は通常容易である。しかし2000年以降で門脈端々吻合を施行した197例の検討では、術直後の急性閉塞にて再手術を要した2例(1.0%)のみであったが、18例(9.1%)において中期的に70%以上の著明な狭窄を認めた。これらの狭窄例では、食道静脈瘤、難治性腹水、肝性脳症などの症状を認めた。多変量解析では31mm以上の切除長が独立した危険因子であった。この結果を踏まえて、それ以上の血管切除を必要とする場合は、近年では左腎静脈などの自家グラフト移植を施行している。
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