演題

SP-3-1

大学病院における個人へのインセンティブ支給の実際

[演者] 森田 茂樹:1
[著者] 宮﨑 耕治:1
1:佐賀大学医学部附属病院

【背景】最近の数回にわたって行われた診療報酬改定の目的の一つとして、外科系医師の過重労働・処遇改善を図るべく手術手技料の増額がなされた。佐賀大学では診療報酬改定による増収を病院の施設の充実化、人員の増員に充てるだけでなく国立大学病院の給与水準が低いという現状を踏まえて医師個人へ還元することを目指し2011年より医師・職員へのインセンティブ付与という形で対応してきた。今回その実績、現状および問題点を報告する。【方法】其々の年度の病院の経営状況に応じて財源を確保し、その財源の1/2を手技料(麻酔手技料や内科の内視鏡などの手技料も含む)に比例計算して個人に還元した。財源の残りの1/2は緊急手術や時間外手術、時間外勤務、ドクターカー・ドクターヘリ搭乗などの項目(現在では15項目)に対して基準を設けインセンティブを支給した。【結果】個人へのインセンティブ支給は2011年上半期から開始した。財源として2011年度は1.4億円、2012年度は3.15億円、2013年度は3.05億円がインセンティブ経費として確保された。今年度の上半期は総計1.53億円のインセンティブが992名の職員に支給された。支給されたインセンティブの平均値は150,728円、上位100名の平均値は982,223円だった。診療科別に支給額の上位20位までを見ると外科系診療科が1位、2位、4位、7位、14位、17位、内科系診療科は11位、13位、16位を占め、麻酔科・ICU・手術部が3位、初期研修医が5位、看護部が6位であった。【考察】佐賀大学医学部附属病院における個人へのインセンティブ支給は、病院経営を支える手技料収入に貢献する医師・職員の意識向上に大きな効果を果たした。またインセンティブの導入により、いわゆるモラル・ハザード(緊急手術などで多忙になるほど収入が減少する)を解消した。一方で、手術手技料など保険診療上の客観的な貢献度を測ることが困難な内科系のインセンティブをいかに評価するかが問題である。さらにインセンティブ経費の財源の確保のためには病院の経営におけるインセンティブの位置づけに関する理解が必要であり、経営状況が悪化したときには相応の減額などの対応も必要である。【結語】個人へのインセンティブの支給は病院経営の許容範囲内で財源を確保し一定のルールを基に透明性を確保しながら運用すれば可能であると考える。
詳細検索
アプリバナー iPhone版,iPad版 Android版