演題

SY-14-9

腹腔鏡下肝切除の利点と課題の克服、そして若手外科医へのフィードバック

[演者] 大塚 由一郎:1
[著者] 久保田 喜久:1, 片桐 敏雄:1, 土屋 勝:1, 前田 徹也:1, 石井 淳:1, 木村 和孝:1, 吉田 公彦:1, 田村 晃:1, 島田 英昭:1, 金子 弘真:1
1:東邦大学医療センター大森病院消化器外科

当科では適応を厳選しつつ腹腔鏡下肝切除(LLR)に取り組んできた。当初は好適応とされる肝下領域での切除や外側区域切除が主であったが、近年ではCTや超音波、そしてICG蛍光カメラなどの画像支援も応用とともに、より安全で正確な肝門脈管処理や肝実質切離を追及すべく工夫を行いつつ肝葉切除を含む系統的肝切除へも鏡視下手術の適応を広げており、その成績は良好である。鏡視下手術の利点としては、開腹術ではときに術者にしか見ることのできないこともあった肝背側、下大静脈周囲での細かな解剖的構築や剥離層、あるいは肝門術野が尾側視野によって良好に認識できることがあげられる。技術的には肝門流入脈管の先行処理による系統的肝阻血域の確保認識や、症例によっては肝静脈根部の肝外テーピング操作なども可能となってきており、鏡視下に可能な肝切除のバリエーションは広がっている。2次元視野や動作制限は鏡視下手術での欠点とされるが、その反面ブラインド操作への危険意識の向上や、協調作業の大切さとともに手技の定型化の重要性に対する教育上の意識向上がみられる。さらに同一視野を共有することによる手術手技の進行の認識の共通的形成ととともに、録画ビデオを術後に繰り返し供覧できることでの課題や反省点、今後工夫すべき点などを見出しやすく、若手外科医への技術継承という点においても鏡視下手術のメリットはあげられる。難易度の高くない肝切除はLLRの好適応になることが多いことで、若手外科医にとって肝切除を行うことのできる機会が当初減少したことがあった。しかし近年では、適応拡大によるLLR症例の増加とチームの成長により若手外科医におけるLLRへのとくに術者としての参加頻度も増し、指導者クラスによる“特別な”手術であったLLRは、好適応例では“スタンダード”な手術として若手に回り、適応拡大例での困難や技術的課題の克服、トラブルシューティングなどにおける経験値も共有している。さらに開腹術において見えにくく、若手にとって見る機会の多くなかった肝背側の解剖理解に対して鏡視下手術からのフィードバックは有用であると考える。
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