【背景】食道癌手術において術後合併症頻度は高く、術前栄養状態の低下が影響すると言われている。術前栄養状態を評価しこれらが術後の合併症発生率に及ぼす影響を検討した。【対象と方法】当科で食道切除術を施行した62例を対象とした。これらのPrognostic Nutrition Index を算出し、PNI不良群、PNI良好群の2群に分け、両群間の臨床病理学的特徴、術後合併症の頻度、術後のサイトカイン値、SIRS合併期間に及ぼす影響について検討した。【結果】両群間で術前から5病日までのIL-6、IL-8、IL-10、HGFの推移に差は認めなかった。全合併症発症頻度(58:60%)、外科的合併症発症頻度(33:38%)では両群間に差は認められなかったが、PNI不良群では術後肺炎の発症頻度が高率であった(50:26%)。【結語】PNIからみた栄養状態不良症例では呼吸器合併症の頻度が高率であり、低栄養状態が危惧される症例は腸瘻などの術前栄養学的な介入が重要であると考えられた。