演題

肝虚血再灌流傷害の発生・進展機序の解明と統合的治療法開発の取り組み

[演者] 高須 千絵:1
[著者] 森根 裕二:1, 居村 暁:1, 荒川 悠佑:1, 岩橋 衆一:1, 齋藤 裕:1, 山田 眞一郎:1, 石川 大地:1, 市井 啓二:2, 島田 光生:1
1:徳島大学外科, 2:University of California

【はじめに】肝虚血再灌流障害(I/RI)は、急激な肝再生による微小循環虚血障害を伴う肝移植時のsmall-for -size graft (大量肝切除)とも共通点が多い。今回、I/RIの機序や制御に関して、これまでのレビューとともに我々の内因性heat shock protein (HSP) family誘導から最新の転写活性制御や細胞治療の可能性までの取り組みを紹介する。【HSP誘導】HSP誘導剤であるGeranylgeranylacetone (GGA)は全肝I/RI・90%Hxモデルにおいて、ともにHSP70誘導、TNF-α発現抑制し、90%HxではGro1(CXCL1)発現抑制や小胞体ストレス分子シャペロンBip発現を増強した。また高圧酸素療法 (HBO)もHSP70とともに抗酸化作用・HSP誘導作用を有するHO-1発現増強により、90%Hxの肝障害抑制や生存率を延長した。【NO阻害】Statin (Fluvastatin)はI/RIにおいてeNOSの増強、NOX4 / TNF-α / IL-1βを減弱させるとともにGreen Tea Extract (GTE)は90%HxモデルにおいてMDAやiNOSの発現低下作用を示した(J Gastroenterol. 2014)。【転写活性制御】酸化ストレスのホルミシスを制御するNrf2転写活性誘導剤であるDimethyl Fumarate (DMF) 経口投与はラット70%I/Rモデルの肝障害scoreの改善、apoptosisを改善するとともに(図参照)、ALT、MDAは低下し、ATP・MPO活性、eNOS発現(図参照)を回復した。さらにDMF群ではCatalase、GCLMが発現増強した(PLoS One in submission)。【細胞治療】15min I/RI + 70%Hxモデルに脂肪由来幹細胞ADRC (1.0 x 105)経静脈的投与は肝障害を軽減し生存率を延長した。またADRCは残肝に強く集積するとともにSDF-1発現が上昇していた(J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2014)。【まとめ】I/RIの発生ならびに進展機序の解明とそれに応じた制御を統合的にすることにより、新たなI/RI治療戦略開発の一助になる。
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