演題

SY-11-3

隣接臓器浸潤肺癌に対して導入療法は予後を向上させ得るのか?

[演者] 川口 晃司:1
[著者] 谷口 哲郎:1, 福井 高幸:1, 石黒 太志:1, 福本 紘一:1, 中村 彰太:1, 森 俊輔:1, 横井 香平:1
1:名古屋大学呼吸器外科

【目的】隣接臓器浸潤肺癌はその浸潤臓器によってT3とT4に分類されるが、それらに対する外科治療では完全切除と機能温存の両面が求められる。導入療法はそれらの可能性を高め得ると考えられるが明確なエビデンスはない。当院におけるT3-4肺癌に対する導入療法の結果について解析し、術前治療の意義について検討した。さらに多施設共同で行っている胸壁浸潤癌に対する術前化学放射線療法の第2相試験について、その初期成績を報告する。【T3-4肺癌に対する導入療法】2004年より外科治療を行った隣接臓器浸潤肺癌は103例で、T3は胸壁66例(壁側胸膜のみ22例)、縦隔胸膜6例、横隔膜4例、主気管支3例、心膜3例、T4は大血管7例(大動脈2例)、左房6例、縦隔脂肪織4例、気管2例、椎体2例であった。その内導入療法は38例(T3 30例、T4 8例)に施行した。化学放射線療法27例、化学療法6例、放射線療法5例で、画像上の効果はPR15例(39%)、SD22例、PD1例であった。85例(83%)に完全切除が行い得たが、不完全切除18例(R1 16例、R2 2例)はすべて導入療法非施行群であった。病理学的治療効果は、Ef3 11例(29%)、Ef2 18例、Ef1 9例であった。追跡期間中央値36月において再発が認められたのは33例(T3群30例、T4群3例)で、そのうち導入療法施行例8例はすべて遠隔転移を来し、非施行例では局所再発14例、遠隔転移11例であった。全体では導入療法の有無で生存率には差を認めなかった(p=0.101)。【胸壁浸潤癌に対する術前化学放射線療法の多施設共同第2相試験】切除可能な胸壁浸潤cT3N0-1M0非小細胞肺癌を対象とし、術前治療としてCDDP+VNR 2コースと同時に原発巣に対して40Gy照射した。その後に外科切除を行い、本プロトコール治療の安全性と有効性を評価した。2012年までに54例が登録され、51例(男性45例、平均58才)を適格とした(2B期40例、3A期11例)。49例(96%)で導入療法が完遂され、PDの1例を除く48例に肺切除と胸壁合併切除が施行された。完全切除率は92%で、Ef3 12例(25%)、Ef2 31例(65%)であった。術後重症合併症を5例に認め、1例がIPの急性増悪で死亡した(治療関連死亡率2%)。追跡期間中央値16月において、12例が再発(局所5例)し、5例が原病死しているが、術前治療により病期が改善した21例は全例無再発生存している。【結語】隣接臓器浸潤肺癌に対する導入療法は、完全切除率を向上させ、局所再発を減少させる可能性がある。
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