演題

SY-10-4

膵・十二指腸損傷の手術術式—膵管再建と幽門閉鎖

[演者] 北野 光秀:1
1:済生会横浜市東部病院救命救急センター

膵管損傷に対する膵温存術式として、Letton&Wilson手術(Central pancreatectomy)の行われることが多い。Letton&Wilson手術は膵断裂部の十二指腸側は縫合閉鎖して尾側の膵断端は膵-空腸吻合を行う方法である。尾側膵組織を温存する方法ではあるが、手技が煩雑で膵腸吻合部の縫合不全の発生することがあり、米国では、たとえ尾側の膵組織が正常でも、同部を温存せず切除してしまう尾側膵切除が主流となった。膵管再建術はPellegriniやMartinらが1960年代に最初に報告したが、以来、ほとんど試行されていない。北米のほとんどの外傷外科医はこの手術があまりにも難しく時間のかかるため本法を廃棄した。演者らの膵管膵管吻合は糸針を膵管だけかけるのではなく膵実質も含めて糸針をかえることに重点をおいている。膵管後壁より開始する。5ー0プロリン糸を近位、遠位の膵管断端にそれぞれ内外へとかけておきモスキートでとめておく。上下前後壁と4針かける。膵管ステントとしてアトムチューブをいれ後壁の糸から結紮し、膵管吻合を終える。ついで膵実質の吻合に移る。縫合は前壁から開始する。4ー0プロリンを用い結節縫合する。前壁の吻合が終了して膵臓を頭側に反転して後壁の縫合を行う。 外傷性十二指腸穿孔では半周以下の小穿孔が多く、単純縫合閉鎖をおこなえばいい。破裂部をデブリドマンし縫合閉鎖する。十二指腸壁の壊死を伴なった穿孔では、穿孔部を含めて切除し十二指腸の端々吻合をおこなう。これができない場合、十二指腸空腸吻合Roux-Y法をおこなう。壊死を伴なった部分を切除し、十二指腸切除部の肛側断端を閉鎖する。十二指腸破裂部口側に挙上した空腸を吻合する。吻合個所が3ケ所になるため、手間がかかり、鈍的十二指腸破裂で十二指腸壁の大量切除の必要な症例は少ない。中等症以上の膵損傷の合併例や発生から時間の経過した高度汚染例では、十二指腸憩室化術や幽門閉鎖術をおこなう。十二指腸憩室化術は損傷のない胃を切除するし、吻合箇所も多いなどの欠点をもつので、北米では幽門閉鎖術が好んで使用されている。幽門閉鎖術では、十二指腸破裂部は単純縫合閉鎖と同様に閉鎖する。幽門前庭部の前壁に切開をおき、幽門を吸収糸3~4針で縫合閉鎖する。幽門前庭部の切開部は胃空腸吻合部とする。幽門閉鎖部は通常数週で自然に開き、再開通する。
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