演題
OP-163-5
胆道閉鎖症における生体肝移植後拒絶反応の危険因子の解析-マイクロキメリズムの免疫寛容に対する影響- |
【背景】 臨床的に胆道閉鎖症(BA)の肝移植後予後は良好であるが、BAの原因としてマイクロキメリズムの関与が指摘されており、マイクロキメリズムによる免疫寛容が関与している可能性がある。今回、BAの肝移植症例において、拒絶反応の危険因子を解析したので報告する。【方法】 対象は生体肝移植を施行したBA 114症例。ドナーは全例両親。母-娘(43)、母-息子(18)、父-娘(33)、父-息子(20)の4グループに分類した。【結果】 拒絶反応は36.8%に認め、グラフト5年生存率は96.5%であった。拒絶反応の危険因子は、ドナー・レシピエントの性別不一致であった(p=0.012)。また、父-娘は母-娘に比べて有意に拒絶反応を合併した(p=0.002)。【考察】 BAの拒絶反応は、ドナー・レシピエント性別不一致が危険因子であり、特に父-娘で合併率が高かった。BAに対する生体肝移植において、母子間のマイクロキメリズムの免疫寛容への関与が示唆された。