【背景】Aspartyl-(Asparaginyl)-β-hydroxylase (ASPH)は細胞表面の水酸化酵素であり、肝細胞癌の予後と相関することが報告されている。我々はASPH阻害剤を開発し、肝細胞癌の新規治療標的としてASPHの有効性を調査した。【方法】ASPHの結晶構造解析から特異的阻害作用を持つ低分子化合物を開発し、ASPH阻害による抗腫瘍効果をin vitro、in vivo にて解析した。またASPH阻害におけるNotchシグナルへの影響を調査した。【結果】ASPH酵素活性を78%抑制する低分子化合物を開発した。この化合物は肝細胞癌細胞株に対し、細胞遊走能と浸潤能、コロニー形成能を有意に抑制した。またマウス皮下腫瘍モデル、同所定量モデルにおいて腫瘍を31.7%、42.6%に抑制した。ASPH阻害剤はNotchシグナル下流のHES1、HEY1発現を有意に抑制した。【結語】ASPHの酵素活性は肝細胞癌の進展に需要な役割を果たし、肝細胞癌に対する有望な新規分子標的であることが示唆された。