演題

SY-8-3

レネック被膜の理解を背景とする、グリソン一括先行処理による解剖学的肝切除手技の定型化

[演者] 加藤 悠太郎:1
[著者] 棚橋 義直:1, 辻 昭一郎:1, 香川 幹:1, 所 隆昌:1, 杉岡 篤:1
1:藤田保健衛生大学肝・脾外科

【緒言】解剖学的肝切除の原則は過不足のない肝領域切除、出血制御、経門脈・肝静脈的腫瘍散布予防を目的とした流入血行(グリソン)と流出血行(肝静脈)の肝切離前遮断である。これを実践すべく、われわれは肝切離前の責任グリソン一括先行処理と肝静脈根部からの露出を解剖学的肝切除の基本方針としている。また両手技を正しく行うために肝固有被膜(レネック被膜)を意識し、活用する。開腹、腹腔鏡下解剖学的肝切除手技を供覧し、定型化を論じる。【解剖学的基盤】グリソンは肝外構造物であり、グリソン鞘は肝レネック被膜から剥離できるため、肝実質非切離下にグリソンの体系的肝外確保が可能である。プレートシステムは肝門板を中心に胆嚢板、臍静脈板(UmP)、アランチウス板(ArP)へ連続し、体系的グリソン確保の基点となる。肝レネック被膜は主肝静脈外膜に密着しており、肝静脈壁への温存が可能である。【体系的グリソン確保】(右側グリソン)胆嚢板胆摘を起点とし、前後区域、右、G1cグリソンを確保する。亜~亜亜区域切除では、肝実質非切離下に中枢から順に「手繰るように」グリソンを引き出して確保する。(左側グリソン)ArPを確保し、UP起始部、左、G1Lグリソンを確保する。UmP頭側からArP頭側を剥離してG2+3を確保する。G3、引き算でG2を確保する。G4はUmP頭側からUP起始部右側に鉗子を通して確保する。(尾状葉グリソン)尾状葉単独切除では、ArP、左右前後グリソン、G1c, G1Lを確保し、肝十二指腸間膜からこれら全てを引き算してG1rを確保する。責任グリソン遮断により切除領域を決定し、初めて肝切離を開始する。【肝静脈露出と処理】レネック被膜を静脈壁に温存しながら肝静脈を根部→末梢方向に露出する。根部側はレネック被膜が厚く、頭側からの肝静脈露出が自然で、分枝の股裂けも予防でき、安全性が高い。【肝切離】責任グリソンの遮断後に肝静脈根部側から頭尾方向に肝切離を行う。肝門で遮断したグリソンを肝切離面に露出する位置で切断する。Pringle法は用いず、切除予定領域のみの阻血となる。【腹腔鏡下肝切除】拡大視効果による末梢グリソンやレネック被膜の視認性向上、自由度の高い視野展開によりグリソン確保や肝静脈剥離の手技は向上し得る。【結論】レネック被膜を意識したグリソン一括先行処理、肝静脈の根部→末梢方向露出、一方向性肝切離により安全かつ根治性の高い解剖学的肝切除術が定型化される。
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