演題

SY-8-2

定型的解剖学的右肝切除

[演者] 片桐 聡:1
[著者] 有泉 俊一:1, 小寺 由人:1, 高橋 豊:1, 大森 亜紀子:1, 樋口 亮太:1, 尾形 哲:1, 山下 信吾:1, 谷澤 武久:1, 江川 裕人:1, 山本 雅一:1
1:東京女子医科大学消化器外科

解剖学的右肝切除は1955年にHonjoらによりその成功例が初めて報告され、その後に続いた多くの外科医の努力と熱意により、半世紀の間に定型化し安全な術式へと確立した。現在の定型化した解剖学的右肝切除のポイントは以下の3点と考えている。(1) 非開胸操作:従来の右肝切除に代表される肝のmajor resectionは、大きな皮膚切開で肝受動脱転から左手で切除肝を把持する視野展開が必須であり、同時に開胸アプローチも一般的に行われてきた。一方で巨大肝腫瘍に対する切除法として、non touch isolationの概念から始まったAnterior approachを応用することにより、開胸しない小さな開腹創で左手を挿入することなく右肝切除が可能となっている。肝切離面へのcounter tractionとして、切離線の左右肝実質に3−0指示糸を等間隔で順次かけることで、左手で右肝を把持せずとも切離面に適度な緊張がかかる。深部の下大静脈周囲の切離においてはhanging maneuverが多用されているが、この手技も代用左手としての一つのcounter tractionとして用いる。(2) 肝門部脈管処理法:グリソン一括処理を第一選択し、必ず前後区域枝を個別に処理する。ただし、グリソン一括処理にはこだわる必要性はなく、HCCや転移性肝癌でも肝門部脈管浸潤が認められる場合や、肝門部の炎症と圧排変形をきたすような症例では個別処理法を用いるべきである。(3) 流出路(肝静脈)系からの出血制御:流入路はPringle法により出血制御は可能であるが、肝離断面に露出する中肝静脈からの出血の対応が重要になる。中肝静脈を露出するラインで肝離断を行った方がより出血が少ない。また、肝静脈からの出血量は中心静脈圧に左右される。肝下部下大静脈遮断法や、reverse Trendelenburg position、TVE、瀉血法、輸液制限や換気量制限などの低中心静脈圧を目指した工夫が必要である。今回は以上の3つのポイントをふまえた現在当科で行われている定型的解剖学的右肝切除ビデオを供覧する。
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