演題

Oncoplastic Surgeryから考える人工物乳房再建術の基本手技

[演者] 矢島 和宜:1
[著者] 野平 久仁彦:1, 新冨 芳尚:1, 土井 卓子:2, 細川 正夫:3
1:蘇春堂形成外科, 2:湘南記念病院乳腺科, 3:恵佑会札幌病院外科

本邦では、一昨年前より乳房再建用の人工物(ティッシュエキスパンダー(以下TE)、シリコンインプラント(以下BI))が保険診療の適応となり、いよいよ人工物乳房再建術が国内における標準治療に位置づけられる準備が整った。人工物乳房再建術は、単純な治療過程であるが、『根治性』『安全性』『整容性』という3つの異なる目標の中庸点をはかることは容易ではなく、各項目のバランス配分については、症例ごとに適切な判断が求められる。広義のOncoplastic Surgeryの概念を人工物乳房再建術にも適応させることを目標とするならば、根治性が担保されているという前提条件をふまえたうえで、患者の求める整容性や安全性を獲得するために必要とされる最小限の組織を適切に温存し、整容改善に貢献することが求められる。ただし、この新しい概念の中で特に重要な目標は、整容性向上のために不用意に組織を残存させることではなく、「人工物ではどうしても自然な形態や対称性を表現するうえで限界がある部分」についてのみ原発腫瘍の局在とサージカルマージンを配慮した上で検討されるべきであり、整容性の「伸びしろ」が国全体として根治性を下げないことが最も重要な点である。乳房再建の治療回数、時期については4通りの方法(一次一期、一次二期、二次一期、二次二期)があるが、この中で、今後治療の軸になるのは一次二期再建術である。本法は、標準治療として望まれる以下の利点を有する。i)一次再建として患者の喪失感の緩和に寄与すること。ii) TEの長所を活かし、周術期•術後の種々の合併症に対する対応が可能になること。iii) TEからBIへの入れ替え術を整容向上のための修正術の機会にできること、等である。外科系医師にとってTEによる皮膚伸展の原理や人工物による乳房曲面の形態形成を理解していることが今後のチーム医療にとっても望ましい。 整容再建としての乳房再建術の難易度を下げ、安定した整容結果を提供し、患者と医療者間で起こりうる整容結果に対する認識の齟齬を回避することが今後の目標のひとつとなるが、そのためには、オンコロジーの原則を遵守しつつ、人工物乳房再建術を単純に定型化することが必須であり、これが術式標準化への過程として重要である。本発表では、Oncoplastic Surgeryの観点に基づく組織温存の意義と術式定型化の具体的過程について、実際の手術手技のビデオを供覧しながら解説する。
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