演題

SY-5-1

重症虚血肢に対する集学的治療 ~血行再建から創処置まで~

[演者] 古屋 敦宏:1
[著者] 内田 恒:1, 内田 大貴:1, 多田 裕樹:1, 東 信良:1
1:旭川医科大学心臓血管外科

重症虚血肢(CLI)の救肢治療において必要な要素は、①足部潰瘍病変に対する適切な局所管理、②下肢血流障害に対する完全血行再建、更に③背景因子となる併存疾患に対応した周術期管理である。当科のCLI治療戦略を述べる。【術前の処置・評価】局所潰瘍病変に対する感染制御(抗生剤投与、切開ドレナージ)および、局所の虚血評価(ABI、SPP)、下肢動脈病変評価(単純X-Pでの石灰化像、3D-CT or DSA)を並行して実施し、更に血行再建法策定のための術前評価(下肢・上肢の表在静脈エコー)、また、全身のリスク評価として心臓エコー検査を実施し、猶予があれば頭頸部MRI検査、心筋シンチも実施している。【血行再建法】自家静脈を用いた末梢バイパスによる完全血行再建を第一選択とし、下肢の静脈が不足する場合は上肢の皮静脈を採用してspliced vein graftとし末梢バイパスを作成する。限局性の大腿動脈病変に対しては血管内治療や血栓内膜摘除を実施し、下腿足部病変に対し静脈バイパスを併施するhybrid血行再建を選択し、必要とする静脈グラフト長を節約している。また、全身リスクの高い症例(心機能低下症例)に対しては、全身麻酔を避け下肢ブロック麻酔+鎮静下での血行再建を選択している。【術中評価】術中にグラフト造影および血流測定を実施し、グラフトを形態的・動態的に評価し、もし不具合が見つかればグラフトを修復する。形態的な異常がなくグラフト血流が不良(20ml/分未満)の場合、血流安定化のためマイクロカテーテルをグラフト内に留置し、術中より血管拡張薬の持続投与を開始する。【術後足部潰瘍管理・処置】術中動脈造影で、潰瘍近傍までの描出が十分認められれば、同時に壊死組織のデブリードマンを実施し、術後潰瘍創部の肉芽形成が認められればNPWTに移行する。広範囲の潰瘍創に対しては植皮を追加実施して早期の完全上皮化を目指す。潰瘍断端がリスフラン位より中枢あるいは足底や踵に潰瘍が及び、深部組織露出を伴う場合は一次治癒が困難であり、筋皮弁移植術を用いた組織補填による断端形成術を症例に応じ選択する。低アルブミン血症(3g/dl未満)は潰瘍治癒不全の要因となり、積極的な栄養管理を実施し潰瘍治癒の促進を目指す。【治療成績】2011年1月から2013年12月までに足部潰瘍を有するCLI137肢に対し血行再建および足部潰瘍治療を実施。下肢大切断に至った症例は8肢で、術後12か月の累積救肢率は92.8%であった。
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