演題

SY-4-1

B型大動脈解離に対する治療戦略—10年間の開胸手術の遠隔成績と問題点

[演者] 湊谷 謙司:1
[著者] 佐々木 啓明:1, 田中 裕史:1, 糸永 竜也:1, 清家 愛幹:1, 尾田 達哉:1, 井上 陽介:1, 小林 順二郎:1
1:国立循環器病研究センター心臓血管外科

目的:ステントグラフト留置術の登場により、B型大動脈解離に対する治療方針は変化しつつある.当施設の過去10年間の開胸手術症例の成績を検討し報告する.方法と患者: 2004年以降、急性あるいは慢性B型大動脈解離に対する186例の 下行大動脈、胸腹部大動脈人工血管置換術を左開胸下に施行した.平均年齢は55±16歳.男性は129人であった.40例がMarfan症候群で、5例がLoeyz-Dietz症候群であった.99例(53%)に胸腹部置換術 (Crawford type I 10例、type II 44例, typeIII 41例, typeIV 4例)を、87例 (47.0%) に下行置換術を実施された.併施手術として2例に全弓部置換を13例に遠位弓部置換を実施された.緊急手術は23例(12.3%)であった.127例(68.2%)において超低体温下完全体外循環を用い(group A)、59例 (31.7%) において軽度低体温下部分対外循環を用いた(group B).結果: 平均人工心肺時間は全症例で227±80分 (group A では244±71 分 group B では191±89 分, P<0.0001). 術後脳梗塞は全体で3.2% (6/186) (3.9% group A 3.9% vs. group B 1.7%, P=NS), 待機症例に限ると 2.7% (5/163)であった.脊髄障害は全体で3.7% (7 /186) (group A 3.2% vs. group B 5.1%, P=NS), これらはすべて待機症例であった.病院死亡率は全体で4.3% (8/186) (group A 4.7% vs. group B 3.4%, P=NS), 待機症例では1.8% (3 /163)であった.術後生存率は3年91.8%、5年89.4%、 7年78.4%であった.結論: 大動脈解離に対する下行大動脈あるいは胸腹部大動脈人工血管置換術の手術成績は諸家の報告と比較して良好であったと思われる.しかし、依然として脳梗塞、脊髄障害に代表される脳神経合併症は看過できない発生率を示した.
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