演題

左側臥位胸腔鏡下食道切除術の定型化の工夫

[演者] 李 栄柱:1
[著者] 岸田 哲:1, 藤原 有史:1, 橋場 亮弥:1, 形部 憲:1, 大杉 治司:1
1:大阪市立大学消化器外科

【はじめに】当科では手術侵襲の軽減を目指して1995年より胸部食道癌に対して左側臥位での胸腔鏡下食道癌根治術を導入し、これまで標準術式として547例に施行してきた。導入当初は胸壁破壊の軽減により手術侵襲が軽減されることを期待したが、開胸手術と同等以上の縦隔郭清を目指した縦隔侵襲の結果は必ずしも術後早期のサイトカインの軽減を認めず、%VCの低下軽減と術後呼吸器合併症の軽減を認めることをこれまでに報告してきた。また、近年のビデオシステムの高精細化によって接近拡大視することでさらに微細な臨床解剖が把握できるようになり、通常開胸手術より精緻な郭清が可能になってきたとも言える。微細解剖の把握を求めるべく接近拡大視下での左側臥位胸腔鏡下食道切除術の定型化の工夫および成績について、ビデオを供覧するとともに報告する。【アプローチおよび器具の工夫】安全性確保の観点から、体位は緊急時速やかに開胸移行できる左側臥位としている。通常開胸と同様の視野で全縦隔にわたり良好なeye-hand coordinationを得るために反転2モニタ法を用いている。エネルギーデバイスは解剖層を癒合させミスト発生により微細解剖の把握のための接近拡大視が困難になりやすい超音波凝固切開装置は使用せず、モノポーラ電気メスとして使用可能な鋏を作成し多用している。十分な縦隔展開を可能とするため剛性のある気管圧排鈎を作成し用いている。【手技定型化の工夫】縦隔操作の手順は定型化しており、①右反回神経周囲を含めた上縦隔右側、②大動脈周囲を含めた中下縦隔背側、③奇静脈弓、右気管支動脈を含めた大動脈弓背側、④中下縦隔腹側、⑤左反回神経周囲を含めた上縦隔左側、⑥食道離断、中下縦隔左側、⑦気管分岐部LN郭清、⑧大動脈弓下LN郭清の順で行っている。各部位での術野展開と手技の定型化をビデオで説明する。【成績】重篤な偶発症は1例も認めていない。平均胸部操作時間は193分、出血量は183 g 、術3カ月後の%VCの低下は15%のみであった。比治癒切除を除いた各pStage別の全5年生存率は、pStage 0; 91.2%, pStage I; 93.5%, pStage II; 73.0%, pStage III; 54.1%, pStage IVa; 19.2%であった。リンパ節転移個数別では0個; 89.0%, 1-3個; 62.5%, 4-7個; 39.0%, 8個以上; 20.6%であった。
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