演題

早期胃癌に対する機能温存手術のコツとピットフォール −幽門保存胃切除術と噴門側胃切除術について

[演者] 二宮 基樹:1
[著者] 三宅 聡一郎:1, 丁田 泰宏:1, 金澤 卓:1, 佐藤 太祐:1, 徳本 憲昭:1, 原野 雅生:1, 松川 啓義:1, 井谷 史嗣:1, 塩崎 滋弘:1, 岡島 正純:1
1:広島市立広島市民病院外科

【目的】早期胃癌に対する幽門保存胃切除術(以下、PPG)と噴門側胃切除術(以下、PG)のコツとピットフォールを述べる。【手術手技の基本】胃周囲の自律神経を温存し、通常はD1+のen bloc 郭清を行う。郭清を犠牲にした機能温存は本末転倒である。【神経温存のコツとピットフォール】ともに、迷走神経後前幹、肝枝、迷走神経後幹、腹腔枝、総肝動脈および非動脈周囲神経叢を温存する。腹腔枝は患者の左側から同定する。左胃動脈根部から2-3cm離れた末梢で分岐することが多いが、副肝動脈がある時には左胃動脈と独立して、その背側走行することがあるので注意を要する。腹腔枝を同定後は右側からの方が全体像を把握しやすく、より安全な操作が可能である。左胃動脈および腹腔枝周囲を郭清したのちに後胃枝を鋭的に切離する。先に左胃動脈を切離してしまうと、counter tractionがかからずこの周囲の郭清が困難となるし腹腔枝に負担がかかる。総肝動脈周囲神経叢や、これから膵に分布する枝である膵枝を温存する層を確保することが予防的No.8a,No.11p郭清では重要である。これより深くなると膵上縁を走行する動静脈を損傷しやすいし、門脈が露出し危険はあっても益はない。【PPGの郭清】No.6郭清に先行して膵体部前面の層を確保し、胃十二指腸動脈を同定後に右胃大網動脈の立ち上がりを確認しておくと、右胃大網静脈の立体的位置関係が分かりやすくなり、この部の郭清が安全となる。幽門下動脈は、まず右胃大網動脈根部の右側背側よりで探す。この際に、ASPDAの走行に留意し損傷しないように留意する。膵下縁で幽門下動脈を認めない場合は、右胃大網動脈から分岐していることが多い。郭清は胃大弯側からも進めて挟み撃ちにしたほうがよい。【PGの郭清】脾上極の最も頭側にある短胃動脈部をmeeting pointと称している。No.11郭清と食道胃接合部付近からの腹膜切離をこの部に向かい進めておき、最後にNo.4saの郭清を脾の下極から上極のmeeting pointに向けて進めるとこの部が立体的となっており、郭清が安全で確実となる。【結語】どんな体型にでも応用できる手術手技体系を構築することが、安全で確実な機能温存手術を支える。
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