演題

JCOGのランダム化試験を踏まえた胃癌の定型手術

[演者] 寺島 雅典:1
1:静岡県立静岡がんセンター胃外科

これまでJCOGでは胃癌に対する外科手術のランダム化試験が行われており、その結果に基づいて我が国並びに世界の標準治療が確立されてきた。以下にその要点について紹介する。 JCOG胃がんグループで初めに結果が報告された臨床試験がJCOG9501である。即ち進行胃癌における予防的大動脈周囲リンパ節郭清(PAND)の有効性を検証する優越性試験であった。残念ながらPANDの有効性は全く証明されず、有効性を示唆する何らかのサブグループの抽出も不可能であった。この結果から、予防的リンパ節郭清は施行すべきでは無く、D2郭清の標準手術としての地位が確立された。臨床的に大動脈周囲にリンパ節転移が認められる症例に対しては、JCOG0405試験の結果から術前化学療法を施行した後にPANDを行う事が推奨されている。 次いで報告されたのがJCOG9502である。食道浸潤を有する胃癌に対する徹底的下縦隔郭清を伴う左開胸開腹アプローチ(LT)による、経裂孔アプローチ(TH)に対する優越性試験である。残念ながら本試験は中間解析により試験の終了が決定され結果が公表された。即ち、LTのTHに対する優越性は証明されなかった。更に術後合併症、呼吸機能、QOLの解析では明らかにLTが劣っているため、食道浸潤3cm未満の症例に対してLTは行うべきではないとされた。本試験では約6割の症例が食道胃接合部癌であったため、近年増加している食道胃接合部癌に対しても本試験の結果が外挿されている。しかしながら下縦隔の郭清範囲や大動脈周囲リンパ節(#16a2lat)の郭清の是非などに関してはガイドラインと若干の齟齬が生じている。 最近結果が公表された試験がJCOG0110試験であり、本試験では非大彎病変の上部胃癌に対する脾摘を伴う脾門部郭清に対する脾温存手術の非劣性試験である。本試験では初めて仮説が検証され、脾温存の非劣性が証明された。即ち、大彎に病変がかからない上部胃癌に対しては、脾摘を行わないことが標準手術として位置づけられる事になる。 現在、JCOG胃癌グループでは網嚢切除の意義を検証するための優越性試験を実施中である。これらの臨床試験結果に基づいた現在の定型手術についてビデオで供覧する。
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