演題

進行胃癌に対する内視鏡外科手術の適応と限界

[演者] 能城 浩和:1
[著者] 與田 幸恵:1, 三宅 修介:1
1:佐賀大学一般・消化器外科

【はじめに】近年、低侵襲を目的とした早期胃癌における内視鏡外科手術の適応は次第にひろがりつつある。胃癌に対する標準的D2郭清手技の確立や安全な再建方法が開発されていることがそのおおきな要因と考えられる。しかし一方で進行胃癌に対する内視鏡外科のエビデンスはほとんどなく臓器の安全なとり回しや従来から行われてきた網嚢切除・大網切除に関する方針も一定ではなく、胃全摘に至っては膵尾部脾門の郭清手技も確立されていない。また食道浸潤胃癌・食道胃接合部癌さらに膵頭部浸潤や十二指腸浸潤癌に対する拡大手術の内視鏡外科は散発的行われその意義はほとんど知られていない。【目的および方法】今回これまでにおこなってきた腹腔鏡下胃癌手術1013例の検討において進行胃癌に対する定型的な手術から食道浸潤胃癌・食道胃接合部癌、膵頭浸潤胃癌、十二指腸浸潤胃癌、肝合併切除例などをビデオで供覧してその治療成績を提示する【結果】1996年から2014年の1013例の集計で胃癌取扱い規約第14版におけるStage1B以上のものは396例だった。その5年生存率Overall survival rateはStage1B, 2A, 2B, 3A, 3B, 3C, 4はそれぞれ89%, 68%、71%、52%、58%, 27%, 17%で開腹手術の全国集計と遜色はなかった。膵頭・十二指腸浸潤例の4例に完全腹腔鏡下膵頭十二指腸切除が行われているがClavian-Dindo分類grade3以上はなく、再発原病死も今のところ1例である。食道浸潤胃癌・食道胃接合部癌は29例に内視鏡外科手術がなされ、うち17例に胸腔鏡操作を加え縦隔郭清と高位での再建術を行っている。これらに手術関連死亡が1例認められるが原病死は今のところ4名である。腹腔鏡下胃癌手術で肝合併切除例は4例で最大切除は直接浸潤に対する外側区域切除である。残遺癌や胃管癌、さらには胃上部の進行胃癌に対するNo16a2lateroや十二指腸浸潤胃癌に対するNo13aリンパ節郭清も行っている。近年に至っては胃癌に対してdaVinciによるロボット支援手術も導入して51例に行ってきた。【結語】術前診断の進歩や腹腔鏡・胸腔鏡手術の技術の進歩により、開腹術で行ってきた胃癌手術のほとんどにおいて我々の施設では同様の術式の施行が安全に行われている。しかしその低侵襲性や腫瘍学的な役割は今後の検討が必要である。
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