演題
OP-077-2
肝細胞癌におけるTUSC1遺伝子の発現および調節機序に関する検討 |
【背景】TUSC1のHCCを含む消化器系癌での役割や発現調節機序は不明である.【対象と方法】HCC細胞株9種,HCC切除例94例でTUSC1 mRNA発現とDNAメチル化を調べ,臨床病理学的因子との相関を検討.TUSC1蛋白発現は免疫染色で評価.【結果】8種のHCC細胞株でTUSC1 mRNA発現抑制を認め,臨床検体では非癌部に比べ癌部で有意にTUSC1 mRNA発現が低下.肝硬変症例と非肝硬変症例で非癌部でのTUSC1 mRNA発現に差は認めず.癌部でのTUSC1のDNAメチル化を有する症例では有意に治癒切除後生存期間が短縮.TUSC1のDNAメチル化は進行病期と有意に相関.3種の細胞株でTUSC1のDNAメチル化を認め,脱メチル化処理によりmRNA発現が回復.臨床検体では癌部でのメチル化を有する症例で有意にTUSC1 mRNA発現が抑制.免疫染色法でのTUSC1蛋白発現パターンはmRNA発現パターンと相関.【結語】TUSC1はHCCの癌抑制遺伝子として働き,DNAメチル化が重要な発現調節機序であることが示唆された.