演題

SP-1-1

新専門医制度の方向性と日本専門医機構の役割

[演者] 池田 康夫:1
1:日本専門医機構理事長/早稲田大学特命教授

厚生労働省「専門医の在り方に関する検討会」の最終報告を受けて、平成26年5月に一般社団法人「日本専門医機構」が設立され、新たな専門医制度構築に向けたスタートが切られた。 本講演では、新たな専門医制度の概要について解説するとともに「日本専門医機構」の役割について述べたい。 新専門医制度の基本理念は (1) 専門医の質の一層の向上と患者にわかりやすい制度 (2) 専門医の認定・更新プロセスの透明性、公正性の確保 であり、その結果として、専門医へのインセンティブの賦与をめざすことにある。 新専門医制度の骨格は以下の通りである. (1) 専門医の認定は中立的第三者機関としての「日本専門医機構」が行う (2) 専門医制度の枠組みを2段階制とする (基本領域とサブスペシャルティ領域) (3) 専門医の育成は研修プログラムに従つて行い,「日本専門医機構」は研修プログラムの評価・認定と研修施設のサイトビジットを行う (4) 総合診療専門医を新たに基本領域専門医として位置づける。 「日本専門医機構」は日本医学会連合、日本医師会、全国医学部長病院長会議が設立時社員となり、その後四病院団体協議会、基本診療領域の代表が社員として加わり、オールジャパンの体制として設立された.この機構の主な役割は、「専門医の認定・更新」、「研修プログラムの評価・認定」、「研修施設のサイトビジット」等であるが、これらの作業は各学会との緊密な連携のもとに行う。 新たな制度は19基本診療領域と基本領域を基盤にした29サブスペシャルティ領域からなる2段階制である。その他の更に細分化された領域や技術認定を必要とする領域、横断的領域などの専門医制度の位置づけについては現在検討中である. 今回、新たに総合診療専門医を基本領域専門医として新設した。その専門医像は、日常遭遇する疾患や傷害の治療の適切な初期対応と必要に応じた継続医療を全人的に提供出来る「地域を診る医師」であり、扱う問題の多様性を特徴とする。他の領域別専門医や他の職種と連携して地域の医療,介護、保健等の様々な分野においてリーダーシップを発揮しつつ、多様な医療サービス(在宅医療、緩和ケア等) を包括的且つ柔軟に提供すると共に「地域全体の健康向上に貢献する」重要な役割を担う。 今回の大きな改革の一つとして、専門医育成に際してプログラム制を導入する事である.機構では「研修プログラム作成整備基準」を策定したが、それに従い各診療領域学会と協議を行う事によって、診療領域別の標準的な研修プログラム作成に取り組み、近日中に完成予定である。また、機構では「専門医の認定・更新基準」も策定したが、各学会認定専門医が更新を迎える際に、新たに策定された更新基準に従って更新したものについては「機構認定専門医」とするという移行期処置が考えられている。 これらの改革を遅滞なく、そして混乱を招く事なく進める役割を担う「日本専門医機構」であるが、その実現には各診療領域の学会との緊密な協力体制は不可欠であり、その連携の在り方も含めて解決すべき課題は少なくない。
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