【目的】膵癌症例で,膵頭十二指腸切除(PD)後の脂肪肝の危険因子を検討した.【方法】当院でPDを施行した膵癌130例中,3か月から1年後にCT検査を行った72例を対象とした(CT時の再発症例は除外).単純CTで肝と脾のHU値を測定し,肝HU/脾HU<0.9を脂肪肝と定義した.【結果】術後脂肪肝を24例(33.3%)に認めた.脂肪肝群は非脂肪肝群と比較し,有意に女性が多く(16例66.7% vs. 11例22.9%,P<0.001),術後下痢が多かった(11例45.8% vs. 7例14.6%,P=0.004).CT volumetryでは,術後残膵体積が脂肪肝群で有意に小さかった(中央値:8.8ml vs. 13.2ml,P<0.001).多変量解析では,女性(OR=12.2,P=0.007),術後下痢(OR=6.76,P=0.013),残膵体積<10.1ml(OR=5.33,P=0.016)が脂肪肝の有意な危険因子であった.【結論】膵癌に対するPDでは術後脂肪肝を33.3%に認めた.女性,術後下痢,残膵体積の減少が有意な危険因子であった.